ネアンデルタール・ルイジアナン
一昨日テキサス州知事がマスク着用義務解除と商業サービス100%解禁を打ち出しました。元々マスクをするように訴えても徹底されておらず、身近で聞いた話だけの判断ですが取り締まりもしてなかったようなので、実用的というより政治的なメッセージのようです。むしろスポーツやコンサートなどのイベントが室内でも収容数に関係なく開催出来る、という方が公衆衛生的に問題あるかと思いますが、あまり触れられていません。
それでもこの宣言は大きな反響を呼び、歓迎と失望が入れ混じった声が聞こえました。
- ‘Reckless and dangerous’: Texas governor’s decision to abandon Covid safeguards sparks angry backlash (UK、インデペンデント紙)
- Business owners, local leaders react to Gov. Abbott rescinding the statewide mask order, business restrictions(テキサスのメディア)
- カルフォルニア州知事のツイート(reckless = 向こう見ずな、無謀な)
Absolutely reckless. https://t.co/3O5GsbSLpM
— Gavin Newsom (@GavinNewsom) March 2, 2021
かの大統領は「ネアンデルタール人的な発想だ」と非難していますが、彼らが生存する時代にパンデミックが起きマスクが有効だとわかったら多少煩わしくても着用したかも知れません。ネアンデルタール人に失礼です(キッパリ。)
NEW: President Biden calls Texas and Mississippi decisions to end mask mandates “a big mistake” and criticizes what he views as “Neanderthal thinking” after CDC warned against complacency in the face of emerging coronavirus variants on Monday. pic.twitter.com/Mmdln3gNG6
— NBC News (@NBCNews) March 3, 2021
言葉の綾ですし例えなのでどうでもいいかと思いますが、彼の発言に乗っかるとアメリカ人の恐らく半数近くはネアンデルタール人並みの知恵しかもたないことになります。実際、ここルイジアナでも州知事にマスク非着用、ビジネス100%再開を嘆願する議員が続出しました。
でもそう考えた方が彼らの普段の言動を理解でき、私的にはアメリカで暮らす上では気が楽になります。
COVID-19に感染しても、選手の心臓に安静時は影響ない、という研究
先々週ぐらいに地方学会での話を聞いて、うちの学部でもCOVID-19感染後の生理学的変化を調べるような研究が出来ないか同僚と話をしてる、ということを書きました。
今も検討中ですが、WSJで以下のような論文の紹介が出ていました。
- A New Study of Athletes’ Hearts After Covid Shows Encouraging Results(Covid-19感染後のアスリートの心臓に関する新しい研究は、励みとなるような結果を示している。)
アメリカのプロ選手(MLB、MLS、NHL、NFL、NBAとWNBA)で新型コロナウイルスに感染した選手を対象に、心臓に損傷がないか、そして心電図と心エコーを「安静時」にスクリーニングしたものでした。詳細は元の論文を参照するのが確実ですが、端的に言うと「どの選手も問題はなかった」という報告です。記事の中でもある医師が、
“The messages of the study are that safe return to sport is possible on an organizational level if systematic and careful screening is performed,”(この研究によれば体系的かつ慎重なスクリーニングを行うことでチームレベルで安全なスポーツ復帰が可能であることを示唆している。)
とも言っています。原著論文は以下のサイトから閲覧できます。
でも運動生理を専門にしている人なら(自分を含めて)異論を唱えるでしょう。こういったデータは必要ですが、あくまでも安静時でのデータなのです。激しく運動したとき、つまり生理的に強いストレスを与えてもパフォーマンス、そしてリカバリー含めて心機能に問題ない、というデータが集まるまで、上記の医師が言う「スポーツ選手の安全な復帰」とは程遠いと考えます。実際学会で報告されたのは、ストレスをかけたときに反応が変わった、というものでした。
ということで、自分らにまだやれることはありそうなことを確認出来ました。よかった、よかった。
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