【在米の視点】平野歩夢選手の3本目、NBC中継を掘り起こし、その3

a guy shows a moment of joy
この記事は約8分で読めます。
広告

米NBCの実況、3本目滑走中及び得点発表後の反応

一昨日、昨日と、北京五輪男子ハーフパイプ決勝において平野歩夢選手の2回目滑走時の米NBC中継内容(動画)を原文(英語)で掘り起こし、さらに私なりに日本語訳(意訳)をつけました。今回の続きです。

2回目滑走中の実況(その1)

2回目の滑走に対して採点結果が出た後の実況(その2)

日本語ニュースだと、記者が伝えたい方向にニュースが切り取られてしまう可能性があるので、1次ソースに接し、文字ではなく動画で話者の伝え方、気持ちの抑揚などを確認し、本当にその瞬間にどう放送されていたか確認下さい。

今回もNBC Sports公式のYoutube動画(以下参照)で、平野歩夢選手が3本目を滑走するところ(3:47~)を聞き取って文字に起こしていきます。なお以下の動画リンクは米国外では閲覧出来ませんので、VPNを使いアメリカのIPアドレスを取得してから閲覧下さい。

Ayumu Hirano hits THREE triple corks to win halfpipe gold | Winter Olympics 2022 | NBC Sports
Ayumu Hirano of Japan landed a triple cork in all three runs en route to men's halfpipe gold, while Scotty James of Aust...

TwitterでもNBCによる動画がありましたが、日本のIPアドレス経由だと閲覧出来ませんでした。VPN経由で閲覧下さい。

なお1回目、2回目のブログは極力事実だけを書きましたが、今回は最後に私見が入ります。ご了承下さい。

実際なんと言っているか?

英語の実況

実況「Judges have to be thinking did we get it wrong and Ayumi Hirano gives them a chance to possibly redeem themselves if they felt that they gave him too low of a score.」

注:Youtubeの動画では聞こえませんでしたが、twitterの動画ではここで解説者が「Show they got wrong. Make them give you a score.」と言っているのが聞こえました。

解説「Straght into the first hit will be another triple. IT IS another perfectly landed triple cork into a giant 1440.」

解説「He may make them eat that score. Huge front 12. Backside 1260 into front side 1440. That was even bigger. That was even more perfect. It’s so incredible that that run is just come together, you see, like riders know.

実況「Yea.」

解説「Everyone knows that that is the craziest run ever.」

注:恐らくここで動画編集があり、途中の経過が少し端折られました。採点が出た後の実況に入ります。 絵は平野選手がすでに得点を聞きガッツポーズをしているシーン(~4:34)です。

実況「There’s a new king of halfpipe.」

解説「Woooww.」

実況「Ayumu Hirano takes gold」

解説「Justice. That run is the heaviest run that has ever been done in a halfpipe.」

2/15追記:動画はここで切られていましたが、まだ会話は続いていました。

NBC’s Todd Richards torches halfpipe judges for controversial Ayumu Hirano score

解説「I will say that. It will echo through social media for the next however long. Ayumu Hirano. The G, the new king.」

私の日本語意訳

実況「ジャッジは「間違ったか?」と考えてなきゃいけないし、平野歩夢選手は低い得点を出した彼らに挽回のチャンスを与えうるでしょう」

(Twitterでのみ聞こえた音声)解説「ジャッジが間違っていることを見せつけてくれ。(ちゃんとした)点数をつけさせてやれ。」

解説「最初に入ったところでまたトリプル(コーク)でしょう。また完璧に着地したトリプルコークで大きな1440でした。」

解説「これはジャッジに大きな点を出させるでしょう。大きなフロント12、バックサイドの1260からフロントサイド1440。このトリックはさらに大きい。さらに完璧。あの走りが実現できるなんて、本当に信じられない。選手ならみんな知ってるよ。」

実況「はい」

解説「この滑走が史上もっとも素晴らしいなのは誰でもわかる。」

(採点が出ました)

実況「ハーフパイプで新しいキングの誕生です。」

解説「おぉー」

実況「平野歩夢選手が金メダルを獲得しました。」

解説「これこそ正義だ。彼の滑りはハーフパイプ史上、最も力強いものだったよ。」

2/15追記

解説「ぼくは(平野選手の走りが史上最高であったことを)言うよ。彼の力強い走りはこれから何年もの間ソーシャルメディアに響き渡ることだろう。平野歩夢、新しいキングだ。」

「The G」ですが、正確な意味は分からないです。恐らくスラングの「gang」の頭文字でそれが変わって「cool friend/homie」みたいな意味合いかな、と。どちらにせよ言葉は古いですが親しみを込めて「彼こそこの世界でもっともイカす奴だ」のような感じだと思います。

まとめ

少なくともNBCの実況担当、解説者は2回目終了の時点で平野歩夢選手をどう評価していたか、わかるかと思います。一方でNBCは意図的なのか、それとも色々な視聴者を考慮しないといけないのか、TV放映だったり、公式のYoutube動画の中で途中でCMを入れたり、編集を入れて解説者の発言をカットしたりし、玉虫色の報道にしている感じです。

もしどこかでNBCや第3国の放送でノーカットの動画があれば閲覧し、必要と思った際にはその都度ここブログをリライトしていく予定です。もしご存知の方がいて教えてくださったら、幸いです。

最後に私見

ここからは自分の経験から考える私見です。経験は事実ですが、根拠は推測です。また私は社会学者でも何でもないので、推測は理論によるものではなく、単なる個人的な推測です。

2回目のような採点が起きた理由がニュースやネットで書かれています。私はそれらの指摘を否定しません。そうだとは思いますが、そのような採点を罰するには決定的な証拠がありません。またNBCは反対する(恐らく多くの)視聴者に考慮して動画を編集して解説者のコメントをカットしたり、放送したものの刺激的なコメントが残る動画は権利を主張して見れなくなるようにしているのが実情です。

欧米社会に住み彼らと同じ土俵で勝負する場合、あくまでも私の経験からですが、平野選手の2回目滑走時の採点で起きたことは日常的に起こります。留学生や駐在員としての立場では、土俵が違うので起きません。ご勘違いをなされぬよう。

あのような対応は彼らにとって当たり前で当然と考えているでしょう。NBCの実況、解説者やネットで「採点がおかしい」と言ってくれてる人はむしろ少数派と考えた方が良いです。これは学歴や宗教によるものでなく、ほとんどの場合彼らの心の奥に潜む本心で、理性や自分の立場上の理由(これをダブルスタンダード、と言います)でそれを抑えるか、それとも匿名の場合もしくは感情的になった場合に表に出てくるかの違いで、本質的な違いはないです。残念ですがこれが現実です。日本人を含めたアジア人に対する扱いは今も昔もこんなもん、だと思っています。極論、戦前も戦後も何も変わっていません。NBCの解説者は最後の採点後に「Justice(正義)」と言っていましたが、2回目の後に意識的に低い点を出したジャッジにすれば、そのような対応こそ彼らにとって「Justice」だったはずです。

オリンピックの場合、リアルタイムで多くの視聴者がいて、ネットでも意見を見い出せたのは幸運でした。自分の周りの話だと密室で知らないうちに決まるので、証拠も残らず抗議しても対応なしが通常です。ほとんどの場合、抗議した自分がむしろおかしな人、と言うレッテルを貼られかねないので流すことの方が多いです。ま、日本でも世襲の方や所々の理由で優遇される立場の方がいますが、その周りで起こることに常識をもって一般人が抗議しても通らないのと似た構図ですね。

それではなぜ今回、NBCの実況のようなことが起こるのか?を考えましょう。私見として2つ。非常に少数ながらもそういう公平的な考えを持てる人がいる場合が1つ。もう一つは同じ場所で同じつらい経験を積み、戦友のような感覚をもてる場合、です。後者の場合、知らない人はどう扱われようと気にならないけど、直接知ってて一緒に大変な時間を過ごした友人は別、という感じです。恐らく、ですが解説者は平野選手に対し、ただ同じ競技をしただけでなく個人的な思いを入れられる何らかの経験があったのでは?と想像します。あたっているかどうかは、わかりませんが。

これは余談ですが当事者となった場合、言葉の問題は抜きにして怒ることは大事です。私の上で流すと言った発言と矛盾しているかも知れませんが、私も必要だと思う時はあえて「キレた」態度を取ります。絶対にヘラヘラしてはいけません。欧米社会で阿吽の呼吸はないので、こうしないと相手が理解しようとはしないからです。日本にいた時はここまでやらないですし、やればやったで疲れますけどね。この点で平野選手は「怒り」を表明したことは非常に良かったと思います。願わくば英語で伝えられたらさらに最高。

悲しいかなジャッジの資格を変えたり、採点の仕方を変えたりしても、同様なことが将来起こると思います。ただその時に「それはおかしい」と声を上げてくれる方が、自分の立場とは違うところ、出来るなら相手側にいることが非常に重要なんじゃないかと思うのです。これは別にスポーツに限らず、政治やビジネスでも同じです。ではそのような仲間を得るにはどうすればいいのか?今後、日本を背負う方々に考えて頂きたいです。

最後にまた私見ですが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とはよく言ったものです。

コメント

にほんブログ村