デルタ株手強いな、という印象
先週は頂戴した研究費に対して研究結果のサマリーを書き終え、今日からは以前出した論文の手直しを始めました。今週中には論文を再完成させて提出し、8月に締め切りがあるグラント書きに移りたいと考えています。念のために伝えておくと、医学部の方とか研究のみの方と違い(彼らは12か月契約)私は大学と9か月契約であり、この夏授業の割り当てがないので3か月無給です。休みをとっても文句を言われる筋合いのない期間ですが、自分のために毎日オフィスに行き仕事しています。うちの大学の場合、何もしないアメリカ人のが多いですけどね。人は人、自分は自分。
ファイザー製ワクチンのデルタ株に関する新しいデータ
ちょっと意外だったデータがイスラエルから出ました。
Israel sees drop in Pfizer vaccine protection against infections
ワクチン接種率で先行するイスラエルで、6月6日以降ファイザー製ワクチンの有効性が64%に落ちたとのことです。それでも十分に高いと思いますけどね。また入院や重病化を防ぐには93%有効でした。この現象はデルタ株感染の拡大と社会的距離維持の撤廃と一致する、報告されているので、アメリカも含めてこの方策を撤廃した所はよく考える必要がありそうです。
ちなみに5月にイギリス政府が発表したファイザー製ワクチンを接種完了した人に対する有効性は88%でした。
イスラエルでの今までの数字についてイスラエルの担当者からコメントはなく、ファイザーからも今回はなかったようです。ワクチンが有効であるという数字が落ちたのは気になるところですが、イスラエルは室内で再びマスク着用するように指導しているので、大丈夫そうかなと思っています。ちなみに増えたとは言えイスラエル全体で先週日曜日の感染者は343人(人口900万人ぐらい)、ワクチンしない、マスクもしない、でも人とは接していたいルイジアナでは530人(人口465万人程度)です。押忍。
ワクチン打っても亡くなる方がいる理由
上の例でもわかる通り、ワクチンを接種しても数%の人は悪化し、最悪犠牲になる方もいる、ということは理解しないといけません。そのことについてWSJが説明をしていました。
Some Vaccinated People Are Dying of Covid-19. Here’s Why Scientists Aren’t Surprised.
ワクチンが100%万能でなく、被害者が出ても科学者たちが驚かない理由は3つあると説明しています。
- ワクチンに対しすべての人が同様に反応するわけではない。高齢者や免疫系に問題があったり、損傷を受けていたり、他の病気でストレスを受けていたりする人は、若くて健康な人に比べてしっかりとした反応を示すことが出来ない。COVID-19ワクチンは非常に効果的だが、予防接種を受けた後でもウイルスに感染しやすい人もいる。
- Covid-19による死亡リスクは、年齢とともに急激に増加する。例えばワクチンによって80歳の人のCovid-19による死亡リスクが95%減少したとしても、その80歳の死亡リスクはワクチンを接種していない20歳の人のリスクよりも高い可能性がある。また糖尿病や高血圧、肺疾患などの慢性疾患も、重症化や死亡のリスクを高める。
- ワクチン接種者が増えれば、ウイルスが感染するワクチン未接種者の数も減る。ワクチン接種者数がワクチン非接種者数よりも多ければ、ワクチンを接種しても犠牲となった高齢者の数が、ワクチンを接種せずに亡くなった若年の数と同じになったり、それ以上になる可能性がある。100%の人がワクチンを接種していても、ウイルスが何らかの形で広がる可能性があるという架空の国を考えてみると、Covid-19による死亡はすべてワクチン接種を受けた人となってしまう。
英国公衆衛生局によればデルタ株は感染しやすいようですが、大量のワクチン接種と治療法の改善によりアルファ株の致死率は1.9%で、デルタの致死率は0.3%に近いと推定しています。
イギリスの疫学者によれば、ある期間50歳以上でワクチン接種を2回受けずに犠牲になった人は59人だったそうです。ワクチン接種率を95%とした場合、ワクチンを接種していなければ約1,180人がCOVID-19で死亡していたことになると推定しています。そのうち95%の1,121人はワクチン接種していれば死なずにすんだ人ですから、この数字だけを見れば確かにワクチンの効果はありそうです。
ワクチン接種するしないは個人の判断ですが、ワクチン効果の数字に関する見解は皆ほぼ同じであって欲しいものです。
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