最近NYから帰国された方の経歴に関する話ー英文から読み解く

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盛ってなんぼのアメリカ履歴書

グラントの締め切りが近づいていて時間がないので、簡潔に。あくまでも私の所感を記しておきます。質問を受けたので書きますが、下衆な話題で大変恐縮です。またこの話は5月に書いたブログの続き、となります。

髪型について

突撃インタビューを受けた際、そして帰国の際に指摘された髪型ですが、在米の方なら気持ちわかるはず。日本に帰国するのが分かっているのなら、私でも

日本の床屋か美容院で髪を切りたい

です。もちろんNYCやその周辺では日本人の美容師さんもいらっしゃいますが、それなりのお値段がします。特にチップが馬鹿になりません。むしろ余りにも綺麗していたら、学生の分際でどこにそんなお金があるんだ?と批難を浴びるでしょうから、ここを突っ込むのはどうかな、と思います。ただし対応や態度については私の感想の及ぶところではないです。ましてや結婚のことをや、です。

卒業していない疑惑

ネットでフォーダム大学(F大)の卒業名簿から名前が消されている、という噂を耳にしました。その真偽はわかりませんが、JD(法学博士、くどいですがPh.D.ではない)コースは通常2年では卒業出来ないから、ということのようです。

結論から言うとF大のJDコースは2年でも卒業可能です。ただしKさんが本当に卒業しているかどうかは、分かりません。物理的に可能、と申し上げるだけです。

私も仕事として担当しているから分かりますが、こういう時はその学部のカリキュラムを探します。

Pdfで閲覧したい方は以下のサイトに飛んで下さい。

まず卒業するのに何単位必要かというと、最低83単位です。選択科目のとり方によってこれより増えることはあっても、減ることはありません。大学院レベルの授業でこれを2年間で取るのは、確かに難しそうです。大学院の場合、普通の学科なら9単位でフルタイムの学生とみなされますからね。

冒頭にはこのように書いてありました。

The Juris Doctor (J.D.) requires successful completion of at least eighty three (83) credit hours. Generally, the full-time program in the day division extends over three (3) academic years. The part-time program in the evening division extends over four (4) academic years. Full-time is defined as 12 to 16 credit hours during a day regular semester; part- time is defined as 8 to 12 credit hours during an evening regular semester.

(Juris Doctor (J.D.)には、少なくとも83単位の履修が必要である。一般的に昼間部のフルタイムプログラムは3年間、夜間部のパートタイムプログラムは4年間である。フルタイムとは昼間の正規セメスターで12〜16単位時間、パートタイムとは夜間の正規セメスターで8〜12単位時間を受講と定義される。)

恐らくこれを読んで(読んだかどうか怪しいですけど)早とちりをしたのかも知れません。あとにXVIII. Early Graduationという項目があり、はっきりと2年間で卒業出来る可能性を提示しています。

Early Graduation is permitted from either a full-time or part-time program if the requisite number of fulltime or part-time semesters is met. This can be accomplished by attendance at two full-time or part-time summer semesters.

(必要なフルタイムまたはパートタイムの学期数を満たしていれば、プログラムからの早期卒業が認められる。これは2つのフルタイムまたはパートタイムの夏学期に出席することで達成される。)

普通アメリカの大学は秋入学なんですが、LLMを取ったことで現地に居たのならば、

1年目(夏、秋、春)+2年目(夏、秋、春)の6セメスター(=2年間)

で卒業が出来なくはないです。ただし大学院レベルの授業を 12単位(夏)- 16単位(秋)- 16単位(春)を2年繰り返すのはものすごく大変なはずです。もし楽だったら大学院の質を疑います。

しかしやっぱり引っかかる所はあって、JDコース入りたてでpre-requisiteの単位を取らずにすぐ夏に取れる授業はあるのかな?と思うのですが、それは調べようがないので分かりません。また日本の大学院でも学んだので、もしかしたら1クラスか2クラス単位移行が許されたのかも知れません。このことについては、XVI. Fordham Law Students Visiting at Other Law Schoolにて、

No credit will be given for any required Fordham course taken at another law school, unless the student receives permission from the Associate Dean for Academic Affairs.

他のロースクールで履修したフォーダム大学の必修科目は、学生が学務担当副学部長の許可を得ない限り単位が与えられない。)

と記述されているのため、入学前に日本で取得した単位は認められないと思うのですが、逆にAssociate Deanが

いいよ

と言えば単位移行OKという意味ですので、ありえなくもないです。以上あくまでも制度上は2年で卒業出来なくない、ということです。どうしても正式に卒業したかどうかを調べるには、大学からdiplomaを取得するしかありません。就職先は普通提出を求めますが、一般の方は無理です。

後日談:

ご指摘を頂いたのですが、彼が日本の大学院で取得した学位はMBAで、法学(MBL)ではないんですね。てっきり法学系の大学院に通っていたものと勘違いしておりました。それならば単位互換の可能性は低いです。

会社のHP記載事項について

受賞歴

ここまではKさんを擁護するような話ですが、ここからは不思議だな、と思っていることです。

今まで皇室でのご相手の勤め先は普通に発表されていましたが、今回は何故かメディアからでは濁されています。もちろん私のツイートも含めてネット上では出回っているので、探すことには苦労がないと思います。直接リンクを貼るのはいやらしいので、会社のトップにリンクを貼っておきます。

私はたまたま9月24日夜に見かけたのですが、プロフィールにびっくりしました。「JFK Profile in Courage Award」を取ったと書いてあったからです。私ですら前大統領オバマさんが受賞するなど、かなりの大物でないと対象にならないことを知っていたからです。

一応調べてみました。

あれ今年の受賞者はユタ州選出の上院議員マット・ロムニーさんです。共和党議員ながら善悪を自分で判断して、前大統領の行動を批判した方です。恐らくKさんが名前を変え、顔を整形していない限り、ご本人ではありません。

不思議だなぁ、と思いました。それが今日HPを見てみると、誰かに指摘されたのかきちんと訂正が入っていました。

Fordham’s JFK Profile in Courage and Sweat Equity Award; Fordham’s Archibald R. Murray Public Service Award

大学内、というか学部内の話でした。本当の話、履歴書に書いてもHPに掲載するまでの話ではないです。むしろ論文で2位になったことを紹介した方がいいです。そちらはきちんとNew York State Bar Association (NYSBA) のサイトに記載されているので疑いようがありません。

Business Law Section: Annual Student Writing Competition

私個人としてはそれより

この会社、大丈夫?

と思いました。法律の会社として脇が甘すぎませんかね?世間からこんな注目浴びている人のプロフィールをこのような形で発表するとは、逆に驚きです。私的にはもしかしてこの会社「ダミー?」とすら思えます。就職先はもしかしたら別なのかな、とすら勘ぐります。

ちなみにですが、現在の表記と過去の表記の違いは、例えばウェブ魚拓で確認することが出来ます。9/24, 9/25のコピーがそこに残っており、現在の形は26日以降に変更されたものと推測されます。

学内のアワード

これも下衆ですが、一応F大学のアワードについて、Googleさんに聞いてみました。

2021年度のガイドですが、上に書いてある賞、見つかりません。ただ包括的なリストかどうか、大学のウェブサイトではないのではっきりしませんが、どんなことで表彰されたんでしょうね。

唯一有益な情報として、プロフィールに書かれているLLMという学位の後のラテン語、

「cum laude」

の意味が分かるかと思います。アメリカの大学を卒業すれば馴染みある言葉ですが、卒業者の中で成績別に表彰される制度でいくつかの階層があります。上の記事にあるように「cum laude」は

Top 33 1/3 percent of the graduating class with the highest weighted cumulative GPA

= 上位1/3、33%

です。これをどう評価するかは、これを読まれた方の判断に委ねます。JDコースでは短期間で卒業することを目的とし成績は二の次としたため、恐らくこれらの表彰枠に入ることが出来なかった、と想像します。

私が分かりうる範囲はこんな所です。時間かけすぎました、仕事に戻ります。しかしF大、思い通りに日本における広告費用を十分に回収した感じです。安い投資でした。

追伸

ビザ面接のこと

現在Kさんのビザが何なのか分かりませんが、かなりの確率でF1-OPTのはずです。となるとM様が今後取得されるビザはF-2となります。これに対応してなのかどうか不明ですが、アメリカ大使館が12月まで(大使館まで足を運ばせずに)Fビザの面接をしれっと免除する方針を打ち出しました。春学期から入学する人は元々少ないので忙しくない上に、パンデミックでさらに減っているのに、このような対策を出したのはなぜでしょうか?

NY州弁護士試験(Bar)合格者

官報のように、合格者は発表されるようです。お名前があることを今から祈願しましょう。いつ発表になるかですが、12月中頃までには、となっています。

New York State Bar Exam Pass Result Lookup

コメント

  1. まぁにゃさん より:

    KK氏の取得したというFordham’s JFK Profile in Courage and Sweat という、訂正後の賞ですが、これも実在性があやしいです。Fordham大の賞のリストにもなく、JFK ライブラリーは大学を通じて学生賞を送ることはなく、フォーダム大とも何の繋がりもないということでした。JFKライブラリーが賞の内容をお知りになりたいということなのでフォーダム大に問い合わせましたが、無回答です。
    そして、一橋大学院で彼の取得したのはMBAですが、法律事務所のhpにはMBLとかいてあります。

    • まぁにゃさん様、

      コメント有難うございます。

      >訂正後の賞ですが、

      勝手な想像ですが、恐らく学科内、もしくは取ったクラスの中で先生がそのような名前の賞を作り授与したのかなと思っています。日本と違いアメリカの学校では皆に持ち回りで何らかの賞を与える傾向があるので、学内の賞に意味はあまりないです。これは私の業界でも同様で、履歴書に学内(もしくは会社内)のことをいっぱい書いている人は実績に乏しいことがほとんどです。読む人が読めば分かります。

      >大学院で彼の取得したのは、

      これも他の方からご指摘いただき知りました。どうやらそうみたいですね。上の賞を履歴書に書くのは米国では日常的に起きることですが、流石に学位は問題です。雇用主は通常合格者にtranscripts(成績・学位取得証明)を提出(実際は大学から雇用主に直接送るもので、本人は文書を封筒でもらったとしても封を切ることが出来ないものです)させるはずですが、この確認を怠っているとしたら会社の人事も問題です。間違いであって欲しいですが。

    • KT より:

      勤め先のウェブサイトに掲載されていたFordham’s JFK Profile in Courage and Sweat Equity Awardはここ数日の間に削除されたようです。

      著作権侵害を心配してのことでしょうかね。 JFK Profile in Courage and Sweat Equity AwardはJFKライブラリーのプロパティーなので、これを使えるのは賞の主催者と受賞者のみでしょう。無断で使用したことを訴えられるのを恐れて削除したのかもしれません。

      • >KT様、

        コメント有難うございます。プロフィールの内容が変更されたんですね。

        >著作権侵害を心配してのこと

        本当の理由は不明ですが、そのようなことがあっても全く不思議はないかと思います。私見を申し上げれば会社のHP担当者が何も考えていないか、それとも(ヒット数を稼いでGoogleなどの検索で会社名を上位に出すという目的で)ものすごく考えた結果なんだと考えます。

  2. マカロン より:

    前に、ビザの事でお伺いした者です。度々申し訳ございません。

    まだ、optかH1Bビザなのか分からないのですが、、もし、H1Bが下りたとして、配偶者がH4とすると、配偶者は労働許可を申請する事ができるようになったと言うのを見ました。関連するhpを添付させて頂きます。この記事によると、「今回の移民局の方策は、グリーンカード申請の手続きがある程度進んでいる H-1B 保持者が、配偶者が働けるようになることで引き続き米国に滞在しやすくするインセンティブを含んでいることです」とありますので、例えば、H1Bで住み始めた初年度に申請して、配偶者の労働許可が直ぐに下りるようなものなんでしょうか? もし、ご存じでしたら、急ぎませんのでお手すきの時にお伺いできたら有難いです。

    https://www.junglecity.com/pro/pro-immigration-law/h-4-visa-eligible-for-employment-authorization/

    • >マカロン様、

      コメント有難うございます。

      >H1Bが下りたとして、配偶者がH4とすると、配偶者は労働許可を申請する

      私が永住権申請を検討し始めた時期に可能になったのでよく覚えています。ただ救済する対象の多くはグリーンカード申請に時間がかかる中国人やインド人です。米国移民局(USCIS)による案内は以下のページで閲覧出来ます。

      Employment Authorization for Certain H-4 Dependent Spouses

      結論から言うとKさんがH1Bを取得しただけでは申請出来ません。あくまでも普通に考えればH1Bを取得してすぐ配偶者に労働許可が降りることはありえません。

      H1B取得後グリーンカードへ切り替えのために申請をUSCISに提出し(この書類がI-140です)、その申請が許可されて初めて配偶者である方(H4保持者)が労働許可(Employment Authorization Document、通称EAD、これを申請するための書類がI-765です)の申請が可能になります。

      紹介頂いたHPでも書かれている通りこのI-140が許可されていなくても、グリーンカードへの切り替え書類を提出(I-140の申請、もしくは人によってはその前のステップのPERMと呼ばれる永続労働証明書の申請)を2度目のH1Bが切れる日の少なくとも365日前に提出したが審査中であり、さらに合法滞在を維持するために1年ごとのH1B延長を申請し許可が降りている場合、その配偶者(H4保持者)はEADを申請出来ます。ただこの時点で少なくとも1度目のH1B(3年間)が終えている必要があるので、ご質問への回答にはそぐわないと思います。

      グリーンカード申請ですが、EB-1からEB-5まで優先順位があります。普通に考えれば例え州の弁護士資格を取得しても博士号もなく(JDは修士号扱い)最初は実績もないKさんが一番優先度の高いEB-1で申請は不可です。数年働き実績を残してEB-2で申請するのが現実的な線かなと思います。EB-2ならばpremium processingというスピード審査を要求出来ますので、この場合書類受付後2週間程度で申請結果を得ることになります。グリーンカードを取得出来るほどの実績が弁護士だとどの位の年数で得られるかは、専門外なので私には分かりかねます。

      ただあくまでも想像ですが、上の議論は不毛で本当にお二人が米国に渡るのなら女性の方にすぐグリーンカードが出ると思います。理由はアメリカの国益に大きく貢献するからです。鴨が葱を背負って来るようなものですから。その場合Kさんはその配偶者として同時に許可が降ります。恐らくこちらの方が現実的で確かに渡米して1年もしないうちに女性の方も合法的に働けるようになります。

  3. マカロン より:

    オ-タス様、お忙しい中、早速ご返答を有難うございました。お陰様で、もやもやしていましたが、すっきりしました。本当に仰る通り、この女性の方だとすぐにグリーンカードが出るような気がします。

    ところで、この男性の方の就職先の経歴欄でMBLと書かれていると言うことですが、ネットでそれに関する事を探してみました。ネットによると、男性の方が卒業された学科は、2018年に一橋大学院法学研究科に変わったそうです。

    一ツ橋hpより
    「ビジネスロー専攻は、2000年に経営法務専攻(国際企業戦略研究科)として開設されました。働きながら通える夜間開講の法律系大学院としての経験と実績を基礎に、2018年度からビジネスロー専攻(法学研究科)に生まれ変わりました。」

    そして、卒業生の方でこのMBLを使っている方もいました。所長代理の方のプロフィールをご覧ください。MBLとあります。この方は2018年に取得されているので、丁度変更になった年なのでこれでいいと思われます。あの男性の方はその前の2016年か2017年かわかりませんが、卒業されているようです。その時点ではMBAだったかもしれませんが、今の学位名称に合わせていると言う事なのかもしれませんが、分かりません。MBAとすべきだとは思いますが、大学の証明書にどのように書かれていたのか興味はあります。

    https://sugipat.net/office-profile

  4. >マカロン様、

    ご返答、情報有難うございます。上のリンク先も拝見しましたが、2018年に新しい学科に移行したのなら、2018年に卒業された方がその学位を主張するのも不思議な感じはしますね。移行をした月に依存するかと思いますが、日本の場合通常卒業は3月で、年度替わりは4月です。

    あとは大学がどのように学位を授与したか、公に発行される成績証明書や修了証明書で確認するしかなさそうです。もちろんこれは本人しか請求出来ないので、大学や会社側から漏れない限り不可能でしょう。

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