テニュア申請のための書類を大学側に提出しました

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大学に残れるか、また就職活動するのか

現在の大学に来て6年目となりました。私の契約に書かれていた文言では「tenure-track(テニュア・トラック)」となっていましたが、契約上では「probationary」というものです。この単語の意味を調べてみると、

probationary(形)

  1. 〔従業員などが〕試用期間中の
  2. 〔運転者が〕仮免許中の

となっていて、最初の6年(正確には7年)の雇用を比較的保証するものの、今後雇用を続けるかは貴方次第だよ、という意味です。「比較的」というのは3年の終わりに通常「Mid-term review」(中間審査?)というものがあり、そこで「(6年後に)残れそうもない」と判断された場合は4年目に別な職業を探さないといけません。基本テニュア・トラックの間は、大学側から「No」と言われればいつでも出ていく必要があるのです。

書類、書類、書類

自分が在籍する大学、学部ともにトップ校からほど遠く医学部でもないので、それほど条件が厳しいわけではないですが、それでも中間審査はありました。それを経て現在に至るのですが、新学期早々、自分がやってきたことを文書に興し、それをサポートする書類をPCから探し出すことに奔走しました。それなりに文書ファイルなどは一か所に保存しておいたのですが、それでも最後の最後で色々と足りないものが見つかり、ここ数日は忙しくしていました。どうにかまとめて今日提出出来たので、あとは幸運を祈るのみです。

審査される内容

大学や学部によって審査する内容は変わりますが、私が得た職は教える義務があるので主に「Teaching」「Research」「Service」の要素から審査を受けます。「Teaching」は自分がどのように教え、状況に応じて工夫し、生徒から反応があったかを説明するものです。アメリカの大学では毎学期、各科目ごとに生徒からの評価・フィードバックを受けますので、その結果も添付しました。またpeer-reviewという仲間内でもお互いに評価しあう機会があるので、その結果も添付しました。私の場合日本人アクセントやイントネーションが勿論あるので、生徒から「アクセントが強い」「分かりづらいときがある」という批判は毎度のことですが、これがどの程度最終的な評価に影響を与えるのかはわかりません。

「Research」はその名の通り研究成果です。研究して、グラント取ってきて、学会で発表し、論文を出したか、につきます。これは恐らく一番数値化して評価しやすいですし、私の場合学部側が決めた基準は上回っている(うちの学部の場合、それほど厳しくない)ので、問題になることはないはずです。逆にどこまできちんと評価してくれて、上の言葉の問題もカバーしてくれるかどうかは、推測出来ません。

「Service」は学部や大学(の雑務)にどれだけ貢献したかです。普通テニュア・トラックの教員にはそれほど奉仕を要請することはないのですが、うちのような中小大学だと契約上では10%の業務のはずでも、何故か上の2項目同様に重要視されるようです。特別なことはしていませんが、学部から言われた時には高校生のリクルーティング活動もしましたし、必要であれば委員会に入り会議に出席、学科でもprogram coordinator(教務主任的な仕事)をここ2年ちょっとほどやってきました。ただ最初の期間は本来ここに力を入れるべきではない、と思っていた(今でも思っている)ので、「自ら進んで」はやらなかったことがムカつかれたのなら反論する余地ないです。従って大して力を入れずにこの項目の成果を申請書類に書きましたが、こういう時、何事も大げさに自画自賛する「アメリカ人的」なライティング・スキルとメンタルが欲しいなと思いました。

どのような過程を経るのか?

今後数か月をかけて、学科長(Director)→審査委員会(Members of Tenure Promotion Committee→学部長(Dean)→副学長(Provost)もしくは学長(President)→評議員会(Board of Trustees)と書類が回り、審査・評価を受けることになります、たぶん。私は政治に疎いので、学部で誰が審査委員会に入るか把握していません。テニュア(英語で正確には「tenured」)になった場合、大学としては終身雇用となるので、設定した基準を満たしているだけでなく、人柄・人物の良し悪しなども考慮材料になると聞いています。新しい政権に移行しましたが私はやはり「ガイジン(=助っ人)」ですし、普通の州立大学のため「アメリカ人雇用」が優先する事情があるのも理解しています。私は基本運命論者なので、運が良ければいいし、ダメなら上を向いて次を探せばいいや、と考えるようにしています。自分がコントロールできないことに一喜一憂するのはあまり賢いとは思えないからです。

参考:アメリカのテニュア制度(英語ですが、簡単に書かれています)

Academic Tenure: How to Get it and Why it Matters

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