アメリカの雇用制度の話
3度目を接種してから数日経ちましたが、今回も幸いなことに副作用がありませんでした。前回同様、接種をした晩から接種を受けた場所が少し重く感じましたが、それも翌日午後には消えていました。
連休前は自主的に人がいなくなる
さて今日はサンクスギビングの前日です。大学側から特に連絡がないので前日である今日は通常営業のはずですが、午後になると人影が消えました。私の場合、大学院のクラスを夜に教えるはずでしたが、流石に授業をやると顰蹙を買うので課題を与えて演習、必要なら質問を受けられるようにと授業時間中はオンライン上で待機していました。生徒が実際に質問に来たかどうかは皆さんのご想像にお任せします。
今学期も12月にあと1回授業を行い、その次の週に期末テストを与えて終了です。マスクを着用しながらも、どうにか対面方式を維持して今学期の授業を完走出来そうです。
大学教員という仕事
アメリカでインフレ(もしくはスタグフレーション)が続いていることを以前紹介しました。
先日現地の友人とも話をしたのですが、ものの価格が上がってびっくりしている、ということを言っていました。大学教員のような公務員は物価上昇に対して敏感に対応する給与体系を持ち合わせていないので、結局は自ら対応するしか方法がありません。今なら大型の免許とって長距離トラックドライバーになりたいぐらいです。
公務員だと福利厚生がいいのでは?と言われそうですが、そもそもアメリカにあまりそのようなものが存在しません。日本のそれを知らないので比較しようがないのですが、別に州の保養施設を使えるわけでもなく、退職金もありません。老後の資金の積立はありますが、普通の企業でも401(k)など同様なものを提供してくれますから特別とは思えないのです。街での割引だと軍に所属している人や警察、消防署などの人が対象になっても、教員がなることは多くありません。
唯一いいかな、と思えるものとしてtenure(テニュア)という制度があります。米国の労働法によれば、雇用主が従業員をいかなる理由でも(つまり、解雇の「正当な理由」を立証しなくても)違法な理由でない限り(例えば、従業員の人種、宗教、性的嗜好を理由に解雇するなど)いつでも警告なしに解雇できます。つまり米国では定年まで雇用が保証された職はないのですが、恐らく唯一の例外が大学教員で、審査を経た後認められればテニュアを授けてもらえます。これが意味することは無期限の採用継続で、大学が経済的に困窮したりプログラムそのものが廃止されたりしない限り雇用が保証されるものです。教員としてのゴールはこれだけではないですが一つの重要な通過点であり、目標でもあります。
ところが最近、この制度を廃止する動きが加速しています。
South Carolina Legislators Want to ‘Cancel’ Tenure
上の場合だとサウスカロライナ州の下院で提出された法案で、今後採用される教員だけでなく、すでにテニュアを持っている教員からもその権利を剥奪することを含んでいます。テニュア制度に問題がなくはないことは教員側でも承知していますが、それでも反発は大きいと感じます。雇用期間が短くなる対案としてその分給与を上げるなどの対策があればいいですが、そのような話は聞こえてきません。この法案が通った場合、サウスカロライナの州立大学はリクルーティングという点で競争力を失うこと間違いありません。
でも他の州も追随しそうです。州立大学の数が多すぎる、という話も再燃しそうです。
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