銃乱射事件続くアメリカ
今週末は女子ゴルフの全米女子オープンがありましたが、日本人選手は上位に食い込めず。テレビの中継で残念ながら映ることはありませんでした。MLBもエンジェルスが怒涛の連敗で借金生活へ。大谷選手がたとえ活躍しても「なおエ」という言葉がまた出てきました。
さて既報の通りアメリカでは今週もどこかで銃が不当に使われ、犠牲者を出たことが報道されています。
Mass shootings across the U.S. leave dozens killed or wounded this weekend
ペンシルバニア州のフィラデルフィアやサウスカロライナ州のミッドランド地区、テネシー州のチャタヌーガ、アリゾナ州のフェニックスやメサで起きたとのこと。さらに大きな記事になっていなくても今週末テキサス州やジョージア州、ニューヨーク州やミシガン州で起きたようで、結果2022年に入ってから156日で240件の複数の人間が巻き込まれた発砲事件が起きたそうです。
ここルイジアナだと発砲事件は毎日どこかで起きていますが、犠牲者が出ないと恐らくニュースにもなりません。この間事件があったテキサスも同様なはずです。
州の政治家の判断
銃規制を謳う人たちと持つ権利を主張する人たちの間に相変わらず歩み寄りがないのですが、ルイジアナでは教員を訓練し、銃を持たせることを進める法案が州議会で出ています。
Two states aim to arm teachers despite opposition from educators and experts
もう一つの州はオハイオ州です。テキサス州はすでに教員が校内に銃を持ち込むことを許可しています。上の記事を読むと、ルイジアナ州で銃所持を推進する共和党の州上院議員が、すでに州下院で可決された銃法案を修正し、学校内でも許可なしに銃を見えない位置で携帯出来ることを求めているようです。
すでに下院を通過した銃法案(許可なしに銃を隠した状態で保持することを許可)
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Bill would allow you to carry concealed weapon without a permit in Louisiana
元々州法で学校内に銃を持ち込むのは違法なのですが、米憲法の元に銃保持を推進する政治家は学校管理者や教師に訓練を与え、学校での武器携帯を許可する許可証を取得させ、銃を携帯して「学校保護官」としての役割を果たさせようとしているのです。
ここでふとせめて「元々銃を取り扱う訓練を受けている警官を増やせばいいのでは」と思うのですが、「予算がなく」学校に人は増やせない、とのこと。そもそもなり手が少なく各学校の教員数ですら足りていない状況なのに、さらに負担を増やそうとする政治家は現状を全く分かっていません。教育の質が全米ビリ争いである州を作り出す政治の現状をよく反映しています。
ちなみにですが、ルイジアナ州知事は表明していないものの、元々学校に銃を持ち込むのは反対の立場の人なので、議会が通しても拒否権を発動すると予想されています。逆にオハイオ州の法律は恐らく成立するでしょう。
銃を保持する条件?
そもそもどのように銃を購入し、保持するのが合法で、どの場合が違法なのでしょうか?知っているようで理解していなかったので調べました。現実に目を背けてはいけません。
年齢
連邦法によると散弾銃やライフル銃などの「長い身長を持つ銃」(AR-15のようなピストルグリップ付きのライフル銃も含む)を購入するには18歳、拳銃は21歳以上でないと買えません。
個人的に18歳で殺傷性の高い大きい武器が購入出来て、小さいのが購入出来ない理由が分かりません。
個人売買の場合
人から買う場合、売る方も買う方も報告する義務がありません。銃保持の許可書を取る必要もないようです。ただし中古を買うことになります。
お店で買う場合
購入の際、店員がBureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局、NICS)に購入者の情報を送り、FBIの犯罪履歴システムで確認されます。これで問題ないとされるとお金を払って新品の銃を受け取ることになるようです。
購入すると違法な場合は?というと
- 仮釈放の日から10年以内の重罪犯(州法)
- 武器所有を違法とする医療証明書を持つ人(州法)
- 1年を超える懲役刑で有罪判決を受けた者(連邦法、州法を超えて適用される)
- 家庭内暴力、接近禁止命令、規制薬物の常用などで有罪判決を受けた人(連邦法、州法を超えて適用される)
手続きはと言うと拳銃、散弾銃、ライフル銃のいずれでも同じだそうです。完全自動式の武器は連邦政府の適切な書類手続きを経なければ、民間人として購入出来ない、とも書かれていました。
保持可能な場所
ルイジアナ州やテキサス州では以下の場所を除き、銃をオープンに身につけどこにでも持っていくことができます。
違法な場所
- 警察署または拘置所
- 裁判所または法廷(裁判官は携帯可能)
- 投票所
- 政治部門における管理当局の会議場
- 州議会議事堂
- 空港の一部、銃の使用が禁止されている場所(輸送のために銃が梱包され預けられたのならOK)
- 政府機関により許可が降りたパレードやデモ
- バー(飲み屋)
- 学校、大学、教会(教会が許可して発表し、国から承認された場合は例外)
- 私有地内(所有者の許可が必要)
洋服内などに隠すための許可
この項目もイマイチ理解出来なかったのですが、銃を持ち歩く時は持っていることを周りに見せないといけないようです。周りの人に銃を持っていることを知られたくなければ(例:コートやズボンの中に忍ばす)、許可を取る必要があるとのこと。この許可証を英語では「a concealed handgun permit」と言うんだそうです。
許可証を保持出来る基準
- 21歳以上のルイジアナ州民
- 銃の取り扱いや保持に関する精神的、肉体的疾患を持っていないこと
- 応募から5年以内に薬物乱用で逮捕されたり、規制薬物で軽犯罪に問われたことがないこと
- 過去1年以内に許可申請を却下されたことがないこと
- 過去12ヶ月以内に公認された安全講習において拳銃操作可能と判断されること
詳細は以下のルイジアナ州警察サイトを参照とのことです。
Louisiana State Police Public Safety Services
手順
- 許可申請書を記入し、提出
- 安全講習履歴、逮捕歴、医療履歴、離婚判決に関する文書の提供
- 指紋採取(州警察本部で10ドル)、新規申請の場合。ただし安全講習で指紋押捺が行われサービス費用に手数料が含まれている場合は免除
安全講習費用:125ドルを支払い、認定インストラクター(警察官もしくは全米ライフル協会が認定した人)による基本安全クラスと武器トレーニングコースを受講するとのこと。
もちろんこの許可証を持っていても、上に書いた場所では銃の持ち込みが禁止されています。
自分の経験から効果を検証
法律が変わって一般的な大学教員が銃を持つように言われても、猫に小判だと思います。物を渡されてもそれで防御出来るとは思えません。
私は別な州でですが、以前ハンドガンを試射したことがあります。当時お世話になっていた教授が警察官候補生の生理学的な体力テスト委託を受け、大学院生だった私は警察学校の訓練に同行しました。本来は候補生が射撃訓練した後サンプル回収をするだけだったのですが、そこにいた警察官のインストラクターが「教えるから君も撃ってみる?」と言ってくれ、指導を受けながら撃つ機会に恵まれたのでした。静止した状態、そして歩きながら射つ練習をしました。
結論を言うと超至近距離でない限り、ハンドガンでは狙った的に当たらなかったです。ましてや動いてる人に、緊張して手が震えかねない場面で当たるとは思えません。むしろ各部屋の入り口や廊下にスイッチを入れると弾丸を通さない防御壁が降りる仕組みを考えてほしいです。どうしても銃にこだわるならハンドガンじゃなくてバズーカでしょうかね。無論、こんなことを考る必要がない方がいいに決まっていますが。
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