米州立大学の自治権 vs. 政治
なんか新型コロナウイルスの対応に関し、くだらない話題ばかりで心苦しいのですが「米国ではこんなことも起きるのか?」と思ってお付き合いください。
アリゾナ州もテキサス州と同じ規制に
昨日自分の大学の話をし、学内でワクチン接種の有無を確認してはいけないという通達の話をしました。
しかしアメリカは広いです。アリゾナ州では以下のようなことがFoxでニュースになっていました。
Gov. Ducey: Arizona college students can’t be mandated to take COVID-19 vaccine, wear masks
州知事の決定
結論を簡単に言うとアリゾナ州知事がエグゼクティブ・オーダーを出し、州立大学が対面授業を再開するにあたり、ワクチン接種だけでなくマスク着用や新型コロナ検査を求めてはならない、としました。
Arizona Gov. Doug Ducey issued an executive order Tuesday banning colleges from requiring the COVID-19 vaccine or masks in order to go to class.
昨年の大統領選挙でよくこの州民主党が勝ったな、と思います(笑)。
アリゾナ州立大学(ASU)の初期対応
ことの発端はアリゾナ州立大学のStudent Servicesに関するバイスプレジデントが、秋学期対面授業に移行するにあたり以下のような発表をしたことです。
Update on student vaccine expectations
大学側としては全米的にもキャンパスでも無料で受けられることから全ての学生がワクチン接種完了していることを期待する、と書いてあります。ここまでは良いのかも知れませんが、以下のことが問題となります。
- ワクチンを接種した学生はASUの健康に関するサイトに接種証明をアップロードすること
- 何らかの理由で予防接種を受けない学生、予防接種状況の共有に同意しない学生は、COVID-19の継続的な健康管理プロトコルに参加すること
大学が課す健康管理プロトコルですが、以下のことを求めています。
- 毎日健康状態のチェックして報告すること
- 新型コロナ検査に週最大2回まで参加すること
- キャンパス内では屋外、屋内問わずマスクをすること
これに対しワクチン接種完了しそのことを大学に届け出た生徒は上記のことが基本免除(マスク着用に例外はあるようです)になる、という話です。最後に新型コロナ感染を管理することは個人の責任と公衆衛生の両方の問題であり、お互いの健康のため全てのプロトコルに従うことをお願いします、と結んでありました。
州下院議員が激怒、州知事すぐ反応
この声明に対し、ASUの卒業生でもあるアリゾナ州下院議員(共和党)のT. J. ShopeさんがTwitterで激怒します。
I’m as big an @ASU fan as anyone, but this policy makes zero sense and should be reversed. pic.twitter.com/CRLozpAG2I
— T.J. Shope (@TJShopeforAZ) June 15, 2021
私はASUの大ファンだがこの方策は全く解せず無効にするべき、と噛み付くのでした。このツイートでは何が問題で理解出来ないか書いてありませんが、たかだか1下院議員の思いが上にすぐ伝わります。州知事はすぐにリツイート(4連発)し、州知事命令でそのような策が有効とならないようにすることを約束します。この間に議会などで議論があったかはどうかは不明ですが、恐らく上からの鶴の一声です。それが以下のツイートです。
This is bad policy, with no basis in public health. Even the Biden Administration has been more reasonable 1/ https://t.co/PPYYIt2cVK pic.twitter.com/mkbXsMj15a
— Doug Ducey (@dougducey) June 15, 2021
州知事はこの方策を社会的に最悪の企みであり「愚策だ」とし、公衆衛生面で根拠がない、としています。また健康に関する方策は科学に基づいて行われるべきであり、美徳を押し付けるものでもない、アメリカでは自由が勝つ、と言っています。私には声明が科学に基づいていないという根拠が理解出来ないですが、そんなことが書かれていました。わかる方、ご教授いただけるとありがたいです。
まとめと私見
ツイッターのコメント(主に知事の判断に反対)とFoxでのコメント(知事の判断に賛成)を読み比べると双方を支持する主張が読めて面白いですが、ここでは書ききれないので割愛します。想像する通りですよ(笑)。あとはこのエグゼクティブ・オーダーにASUがどう対応するか、気になります。
自分が感じたことしては、知事の判断もそうですがその職の権限が強いことにむしろ驚きました。これなら制度として議会も議論もいらない気がします。一方で上から言われても市レベルや地域レベルで従わない、という決断がパンデミック下でされてきたのを目の当たりにしているので、そこまで心配する必要もないのかなとも思います。職業・政治家としては次も当選するために政治的なショーを有権者に見せないといけないから、と理解し深く考えすぎない方が良さそうです。
なんかルイジアナのが若干ましかも?と思える話でした。英語で言うfreedomという単語の意味がいまだによくわかりません。
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