ワクチン接種で五輪開催時のリスクを軽減することについて
ファイザー、オリンピック選手にワクチン提供へ
今朝ファイザーがオリンピック参加選手にワクチンを無償提供することを申し出たことをNHKのポッドキャスト・ニュースで聞きました。後で確認するとこちらのニュースでも記事になっていました。
現在の日本の感染状況でオリンピックをやるやらない、という根本的な議論はさておき、「開催ありき」なら開催国及び関係者にとって「渡りに舟」だと思います。しかし政府や関係者がもっと早くワクチンを確保して欧米並に接種を推進していればこんなことにならなかったのに、と残念に思います。
報道への懸念
しかし日本もリベラルな全国紙が色々と言うのは理解しますが、スポーツ紙までアスリートへのワクチン供与に批判的な論調ばかりで驚きました。全部読んだわけではないですが。
スポーツ紙としてはスポーツ・イベントがなければ記事もなく、売上もあがらないと思うのですが。それともスポーツ紙に正義やら道徳観を求めている読者がそれほどいるのでしょうか?私は日本にいる時帰り道に東スポを買ってよく読んでいましたが、そんなこと全く期待していなかったです。大袈裟な書き方や時にはガセネタも笑って読み飛ばしていましたが、時代が変わったんですかね。
バランス感覚を
おまけですが、最近みかけるニュースで「米有力紙」が相次いで日本に五輪開催中止を促す、というのをたくさん見かけます。私がこちらの新聞で見かけたのはワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズでしたが、どちらもリベラルな新聞社です。あくまで開催に関して道徳的倫理的な「良し悪し」は別として、この事実を知らずにこれらのニュースを見て「アメリカはオリンピック開催を反対している」という考えが日本に浸透するのは、ちょっと極端で危険だなと感じました。
- 参考記事(NHKより):トランプ派?反トランプ派? メディアの立ち位置を決めるものは…
私がネットで検索した限りアメリカ人に対して行われたオリンピック開催に関する投票は以下のものが見つかりました。
これだと3割がスケジュール通り、他の3割が延期、約1割が中止となっています。意見なしが25%もいますから、Foxあたりが記事を出したら「半数以上がオリンピック開催に異論なし」というなるでしょう(笑)。ちなみに一番下の世代別のデータですが、アメリカの場合世代は以下のように分類されています。アメリカのニュースなどでよく耳にするので、知っておいて損はありません。日本だと「団塊の世代」とか「ゆとり世代」とかありますが、それと一緒です。
– Baby Boomers: 1946-1964年生まれ
– Generation X (Gen X): 1965-1980年生まれ
– Millennials (Gen Y): 1981-1996年生まれ
– Post-Millennials (Gen Z): 1997年以降生まれ
ファイザー社の思惑
ここから私の推測ですが、ファイザーやビオンテックが選手団用に数百万本のワクチンを用意することは全く大したことないと考えます。アメリカでは実績ベースでファイザーだけでも長いこと1日に百万人以上に投与しています。(以下ニューヨーク・タイムズのワクチン・追跡サイトより、5/6現在)
アメリカはそれ以外でも認可を受けているワクチンがあり、希望者も大幅に減っていてワクチンが余っている状態です。ニューヨークなんて街の活性のために観光客にもワクチンを提供しようと試みるぐらいです。
Mayor Bill de Blasio says the city is ready to vaccinate tourists at popular attractions to help revive the city after the pandemic, bringing mobile vans to jab visitors everywhere from Central Park to the Empire State Building https://t.co/DnWAqz0qPY
— The Wall Street Journal (@WSJ) May 7, 2021
先月4月から海外からの観光客も隔離なしで受け入れていますから、この話が通れば日本から飛行機に乗り、ワクチン打って観光して帰ることも物理的には可能となります。
生産能力的にも国内向けは余裕があるに違いないです。ましてや米政府は開発・生産に対して契約をし、前もって十分払っていますから、製薬会社は今までに十分に儲けています。ですからこんな余裕がある中で「数百か数千万投与量分」のワクチンを東京オリンピックに参加する選手に寄付することなんてどうってことないです。むしろ良い宣伝になり、今後の世界的な売上を考えれば「安い投資」ではないか、とすら考えます。ファイザーは民間の製薬会社ですから、このような判断をするのは真っ当なことです。
ワクチン供給に対する私見
確かに道徳的にとか、平等を唄えば他に回さないのかという疑問は起きます。日本国内でも「アスリートに優先接種」に批判がある、と聞きます。しかし私見ではこれらの批判はお門違いです。
上記のようにファイザーは利益を追求する会社であり、世界的なワクチン配布はWHOなどがすべき仕事です。国内の問題はこれまでにワクチンを開発・もしくは確保出来なかった政府に向けるべきで、選手や関係者ではないです。今までの接種計画に影響を与えることなく、余剰のワクチンを選手に投与するのはファイザーや選手に非はないです。ましてやオリンピック選手に選ばれたのなら、英語で言えば「gifted(才能が授けられた)」でさらにそれ以上の努力をしてきたのですから「優先して接種」を受けることに引け目を感じる必要は全くないと考えます。
海外から人を入れることなど「安全」に議論もありますが、「オリンピックを開催する」のなら(今回の私の議論ではここに焦点はありません、あしからず)、ワクチン接種完了者の方がしてない人よりウイルスを持ち込むもしくは日本にきて媒介する可能性ははるかに低いと考えるのが普通ではないですかね?
最後に
自分の考えを書いていたら、長くなってしまいました。今日本来書こうとしていたことは明日以降にします(笑)。参考までに上のような考えに至る背景として私が住むルイジアナの近況を書いておきます。
一時期は全米ワースト1の感染率、1度でもワクチン接種をした人の割合で見ても5月5日付けでワースト2位(上図)とダメっぷりを発揮していますが、先日大学側から5月17日より大学の機能を(マスク着用は維持したまま)すべて今まで通りに戻すという発表がありました。卒業式は屋外の予定を室内に変更し、来客に制限をつけずにやる、とも言っています(これは時期尚早と個人的に思います。)州は(勧めてはいるものの)マスク着用義務を解除し、レストランやバーは100%客を入れて営業している状態です。一方で毎日の感染者の数は週の平均で500人を下回ることが続いています(下の図はNY TimesのTracking Coronavirus in Louisiana: Latest Map and Case Countより5月6日現在の様子。)
誤解なきよう説明しておくと、私は州や市もしくは大学の対応に100%賛成してはいないですし、今でも必要のない外出は避け、ワクチン接種完了後も公衆の面前ではマスクを着用しています。恐らくここでは最も「リベラル」もしくは「新型コロナウイルス感染」の危険を大げさに捉えている人に分類されるはずです。一方でこんな状況下でも「動ける人は出来る限りの予防措置をして動くべき」という考えを持っています。世の中リスク0はない、とも思っています。そんな考えの持ち主が今日のようなブログを書いた、と理解していただければ幸いです。最後までお付き合いありがとうございました。
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