ニューヨークに隔離なしに来訪出来るようになっていた件、他

Looking up NYC
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立法業務を行う人に科学の知識取得を義務付けよう

ニューヨーク州で来訪者の隔離義務が終了していた

昨年、感染の爆発具合が圧倒的に大きかったニューヨーク州は、他州や海外からの訪問者が来たときに隔離やCOVID-19検査を義務付けていましたが、4月に入ってこれを解除していました。何年に1度は都会の空気を吸いにNYCを訪れていた私にとっては朗報です。

ただ表題にある通り隔離することを「推奨」はしているようです。最近渡米してきた渡辺直美さんは隔離期間に入ることをツイッターに載せていましたね。詳細をニューヨーク州のHPから確認してみます。

4月10日現在隔離することを勧められているのは「ワクチン接種を完了していない人」と「過去3ヶ月以内にCOVID-19陽性が判明し、回復していない人」となっています。これらの人はニューヨーク州に入ってから3-5日経過後にPCR検査を受けること、そしてPCR検査を受けた場合は7日間、受けない場合10日間の隔離することが推奨されています。またテストの結果に関わらず、14日間は罹るリスクの高い人との接触もしないよう求められています。またワクチン接種をしていてもすべての旅行者はTraveler Health Formを記入して提出しないといけないようです。これは気をつけましょう。

アイビーリーグ2大学でワクチン接種を義務化

イェールとコロンビア大学の場合

以前いくつかの大学でワクチン接種が義務付けられた、という話を紹介しました。

これに加えてアイビーリーグの名門校、イェールとコロンビア大学でも秋にキャンパスに戻ってくる学生にワクチン接種を義務付けました。

これでブラウンとコーネル大学をあわせてアイビーリーグの4校(全体の半分)がワクチン接種を義務付けたことになります。一方でハーバードとプリンストン大学は接種を「強く推奨」するに留まっています。ダートマス大学はワクチン接種した場合証明を提出することを奨励していますが、ペンシルバニア大学とともに「義務化」にするしないの発表は行っていない模様です。あー、ペンシルバニア大学は前大統領の母校でしたね。他意はありません、あしからず。

追記:Chronicle of Higher Educationによるとダートマス大学も学生のワクチン接種を義務付けていました。

ルイジアナの大学の場合

一方で夏以降すべて必要な授業はすべて対面にする、というお達しが大学上層部から来ましたが、ワクチンに関しては今まで何も連絡ありませんでした。しかし今日になり発表があり「学生にワクチン接種を義務化しない」という決定をしたようです。

双方のシステムのトップはもっともらしいことを言っていますが、(真っ赤に染まる)州の政治家に迎合しないと州から補助金が来なくなって困るということです。以前伝えた通り法律に照らし合わせたら緊急使用の段階では「義務化」出来ない、というのはわかります。ただルイジアナ州議会で2番めに高い地位にある共和党議員の以下の発言を聞いていかに彼らが馬鹿げているかよくわかりました。

In distributing the vaccines, he added, “We honestly have some legislators who think that we really are implanting 5G chips into people.”(ワクチンを配布するにあたり”正直なところ本当に5Gチップを人々に埋め込んでいると思っている議員がいる “と付け加えた。)

虚無」です。アメリカもしくは少なくともルイジアナから離れたい十分な理由です。おそらくこの人達、分数の計算や濃度計算が出来ない人です。まぁそれでもルイジアナでは上位50%ぐらいに位置しますけどね、算数で。

現実逃避にハードなサイエンス

あまりにも呆れて頭にきたので久しぶりにまともな科学の話を今回そして次回以降にしようと思いました。興味ない方は読み飛ばして結構です。

新型コロナウイルスの変異種(例:イギリス株、B.1.1.7 )が感染率が高い、というニュースは聞いていますが、具体的になぜ高くなるかの説明は調べていませんでした。私が調べた限り日本語では唯一以下の記事が、それに相当する内容でした。

私はなんとなくわかりますが、詳細がわかりません。例えばスパイクたんぱく質で起きた「N501Y」という変異は実際に何なのか、すぐにピンと来ませんでした。変異の命名法を調べてみると、N501Yはアミノ酸部位501のアスパラギン(N)からチロシン(Y)への置換を示すそうです。

なるほど。私はアミノ酸を3文字による表記法に慣れていて(例:アスパラギンはAsn)、生化学で習った1文字での表記法を忘れていました。言われてみれば納得です。すると次に出てくる「P681H」という変異はアミノ酸配列681の位置でプロリンがヒスチジンに変わった、ということになります。

その次に疑問を感じたのは「『N501Y』という変異によって、この親和性が上がる」ということ。言われてみれば「ふーん」と思いますが、実際どうそのタンパク質が細胞とくっつきやすくなったかまではわかりません。これも調べてみたら以下の動画で視覚的にその変化を教えてくれました。WSJの動画で英語なので、時間が出来たときに日本語に直し噛み砕いて伝えることができればと思いますが、絵を見ているだけでもなんとなくはわかるかと思います。

ちなみに上の記事では試験管での実験結果に触れられていましたが、最近分子動力学シミュレーションでもその効果が示されていました。意欲的な方へ。FEBS Letterより。

またパッと調べたところ、N501Yという変異があっても(ファイザー製の)ワクチン接種により産出される中和抗体の効き具合への影響は小さいことが示されていました。つまりワクチンは十分に有効ということです。Nature Medicineより。

今後もっとデータが出てこれらが確固たる事実になっていくことを期待しますが、今我々一般人が出来ることは、このウイルスのホストになりうる人間の数を減らすことです。ウイルスは単体では生き延びられません。彼らが未知の驚異となる変異を起こす前に少しでも抑え込むことが、後から対応するよりはるかに理想です。それには今何が必要か、わかりますよね?

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