新しい変異体、オミクロンに関して現在わかっていること

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新しい変異種について

アメリカはサンクスギビング繋がりの連休明けです。今日はサイバーマンデーなのでオンラインで買い物を継続している方が多くいらっしゃるかと思います。私もブラックフライデーを含めて少し参加しましたが、必要最低限のものを購入しました。

命名法

新型コロナウイルスで新たな変異体(B.1.1.529)が南アフリカで検出されたことが話題になっています。オミクロン(Omicron)という名前がつけられたようですね。個人的には10の-6乗であるマイクロという単位に、日本語で接頭辞である「お」をつけて尊敬語になったもの、と覚えましたが、ウイルスに対して敬語を使うのは不謹慎かも知れません。もちろんWHOがギリシャ文字の「オミクロン(ο)」から取ったことは言うまでもありません。

アメリカの場合、今まで確認された変異体で要観察(Variants Being Monitored, VBM)であるものは以下の通りです。CDCのサイト(SARS-CoV-2 Variant Classifications and Definitions)からの抜粋しました。

COVID-19 variants

余談ですがVBM以外だと、Variant of Interest, VOI(注目すべき変異体?)、より感染力や重症率が高いVariant of Concern, VOC(懸念される変異体)、特に重大な結果をもたらすVariant of High Consequence, VOHCという分類がありますが、これらに該当するのはVOCとされたデルタ株(B.1.617.2)だけでした。

ここで何を伝えたいか、というと今までギリシャ文字のアルファベットで使われたのはMu(ミュー)だったので、次の変異体はν(ニュー)かξ(クサイ)かと思えたのにo(オミクロン)まで飛ばされたということです。別にどうでもいい話だとは思うのですが、日本語でも面白い推測記事を見かけました。

中国に配慮してオミクロン株に? WHOが2文字飛ばしの理由を説明

実際はどういう判断だったんでしょうね。政治的な配慮があったのでしょうか。

ワクチンや薬は効くの?

先週末他大学の医学部の先生(医師ではなく研究者)と雑談したのですが、(変異ウイルスのDNA配列は判っているので)今までの中和抗体やワクチンが効くかどうかは、in vitro(試験管の中)の試験で今週中にははっきるするのではないか、と言うことでした。In vivo(動物を使った実験)ではもう少し時間がかかるとのこと。デルタ株から置き換わったから感染などが強いだろう、という予想は現段階であくまでも予想のようです。

今日のCNNの記事だと、遺伝子解析から推測するにオミクロンさんは体内に入るためのスパイク・タンパク質に問題となる変異がある、と指摘しています。特に多くのワクチンはこのスパイク・タンパク質の一部を模して免疫機構を活性化しているので、スパイク・タンパク質が変化してしまうと免疫が新しい変異種を「敵」として認識しずらくなる可能性があるとのことです。

Coronavirus variants: Here’s what we know

それ以外でもすでにわかっている変異をオミクロンが持ちあせているものとして、

  • E484K(中和抗体が効きにくくなる)
  • N501Y(鼻や喉などでウイルスが複製しやすくなり、感染力が増す)
  • D614G(デルタ株にもあり、ウイルスが体内の細胞にくっつきやすくする)

が挙げられています。しかしこの記事にコメントを寄せた医師はワクチン接種はオミクロン種に対しても恐らく有効であり(南アフリカの接種率は24%以下)、今まで通り手洗いの励行やマスク着用、社会的距離の維持や頻繁な換気は十分な予防策になる、と伝えています。つまり対策さえすれば「パニックに陥る必要はない」との見解です。

民主党の陰謀説?!

ところがどこにでも色々な輩がいるもので、アメリカでは早速共和党から民主党の陰謀説がまことしやかに流れました。

Have you heard the new Republican conspiracy theory about the Omicron variant?

テキサス州選出下院議員のロニージャクソンさんが言うことには、「(来年の)中間選挙に合わせた変異体」で、郵便投票を促すためのインチキでありそうさせてはならない、だそうです。でもこの主張には無理がありませんかね。しかも一応MD(医者)の肩書持っているので、信じる人がいそうで困りものです。少なくとも今日現在でわかっていることはほとんどないのが現実ですから。

公衆衛生の話を政治の話にすり替えることは今すぐにでも辞めていただきたいと強く思います。

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