まとめ:ロシアーウクライナの緊張過程を学ぶ

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米ウクライナ大使の家族に避難勧告、米軍を東欧に送る案も

ここ数日ルイジアナでも最低気温で氷点下を下回る日が続いています。年に一度あるかないかのイベントですが、土地柄そのような気候に対して全く用意がないので金曜日は付近の学校がお休みになりました。個人的に-1~-2℃は多少寒くても心地良い寒さで、ケンタッキー州ルイビルで経験した冬を思い出させてくれます。

今日の話題は新型コロナから離れます。

ロシアとウクライナの緊張

最近ロシアとウクライナで緊張が高まっています。あまり詳しいことは知らなかったのでまずは日本語でそこに至った過程を学びました。私の学生時代ではソビエト連邦(USSR)としてひとくくりに学びました。BBCがお互いの事情をよく描いていると思います。

場所

地理的な場所がぼんやりとしか分からず、調べました。ワシントン・ポストより。

ワシントン・ポストより

これで見るとロシアの西側、ウクライナの東側の話であることが分かりました。

歴史

1917年のロシア革命を機に独立し、ウクライナ社会主義ソビエト共和国を樹立。ソビエト連邦を構成する共和国の一つとなった一方で、ウクライナ人の民族的傾向に対するスターリンらの大規模な弾圧が行われた。

1991年、ソビエト連邦崩壊により新たな主権国家として独立。2004年、ポーランドやスロバキア等旧東欧8各国がEUに加盟。2007年、ルーマニアとブルガリアもEU加盟。ウクライナはEUと直接国境を接することになる。

2004年、オレンジ革命。親ロシア派の与党代表で首相のヴィクトル・ヤヌコーヴィチと、欧州に帰属を唱える野党代表で前首相(当時)のヴィクトル・ユシチェンコに大統領選挙に関し、一度はヤヌコーヴィチの当選が発表された。しかしユシチェンコ大統領候補支持層の基盤であった西部勢力が選挙に不正があったと抗議し、世界各国の関心を呼ぶ。このときロシアがナショナリズム的にヤヌコーヴィチ、欧米が大統領選挙が民主的ではないとしてユシチェンコに肩入れして報道していた。 国際世論は欧米側になびき、再選挙の結果ユシチェンコが大統領になった。

その後政権成立直後から政権内部の抗争が相次ぎ、革命を支持した民衆も離反。結果、2010年の選挙ではヤヌコーヴィチが当選し、就任した。2010年9月30日、ウクライナ憲法裁判所は2004年の政治改革法を違憲と判断、憲法改正を無効として時代が逆戻りした。

2013年ヤヌコーヴィチはEUとの政治・貿易協定の仮調印をするも、ロシアを配慮し正式調印を拒否。これに対して反発が起き大規模反政府デモが発生、国内は混乱。2014年に入っても混乱収まらず、 ヤヌコーヴィチは2月22日ロシアに逃亡。ウクライナ議会はヤヌコーヴィチを大統領から解任し、親欧米派である議会議長のトゥルチノフを大統領代行、政変の立役者の1人ヤツェニュクを暫定首相とした(ウクライナ騒乱、マイダン革命、もしくは尊厳革命)。またEUとの協定に署名し、2004年の憲法改正を再び有効とした。

ロシアは親ロシア派ヤヌコーヴィチの失脚を米国主導の反政府デモによるクーデターと位置づけ、猛反発した。暫定政権誕生以降、謎の武装集団がクリミアに展開して空港や市庁舎など要所を武装占拠(のちに武装集団がロシアの特殊部隊であることが正式に判明)。またその地域に多く住むロシア系住民を中心とした親ロシア派がウクライナからの離脱およびロシアへの編入を目指すようになった。2014年3月16日、5月25日のウクライナ大統領選挙に行われるはずだったクリミアの住民投票が前倒しで行われ、96.77%がロシアへの編入への賛成票を入れたとされた(もっとも投票は軍事的圧力の下で行われ、選挙違反や不正なども指摘されている)。

暫定政権と欧米諸国は本国・ウクライナの合意無しの独立およびロシアへの編入は無効だと主張したが、この動きを受け2014年3月18日、クリミア半島を構成するクリミア自治共和国・セヴァストポリ特別市(ウクライナ南部)をロシアが併合すると宣言。その後ウクライナ東部(東部のドンバスと呼ばれる2地域)で激しい戦闘が勃発し、親ロシア派の反政府勢力がロシアの後ろ盾を受け同地域の大部分を占領するに至った。

BBCより。青色部分は親ロシア勢力が掌握した地域

ウクライナ軍と親ロシア派の戦闘ではこれまでに約1万4000人の命が失われ、約200万人が住む家を追われる結果に。 2019年5月、コメディアンであったゼレンスキーがウクライナの大統領に就任し、東部に特別な地位を保障する和平案の履行を提案、2020年に停戦合意が成立した。しかしそれ以降は相手が合意に違反したと互いに非難し合っているの状態が続いているとのこと。

背景

まず言語的な背景。ウクライナ東部や南部はロシア語を話すロシア系住民が多く、逆に西側はウクライナ語を話すウクライナ系住民が多い地域とのこと。クリミア半島やドンバスと呼ばれる地域は東側(下の図でざっくり赤で囲まれた地域)です。

ウクライナ語を離す割合で黄色が濃いほうが話す人が多い。Wikiより。

地政学的にはクリミア半島にはロシア艦隊が停泊する港(セバストポリ軍港)があり、しかも貴重な不凍港で、ロシア海軍・黒海艦隊の基地が置かれているとのこと。もともとはソ連の軍港だったものの、ソ連崩壊後はウクライナが所有し、ロシアは賃料を払って使わせてもらっていた立場だったそうです。それが今は再び自国で管理している、ということでしょうか。

ロシアによるウクライナ危機 → 地政学で「危機の正体」を読み解こう

歴史的にはウクライナはロシアとは社会的、文化的につながりが深いが、ソ連崩壊後、汚職や経営管理の誤り、経済成長の停滞、フリヴニャの平価切り下げや公的市場からの資金調達といった様々な問題を抱えていたそうです。そこでEUと友好関係を築こうと少しずつ接近。ロシアはこれを良く思っていなかったとのこと。プーチンはNATOの軍事的プレゼンスが拡大し、ロシアの安全保障に対する直接的脅威になっていると主張し、ウクライナは決して北大西洋条約機構(NATO)に加盟すべきではなく、西側諸国も東欧諸国への武器の提供を停止すべき、と訴えていました。確かに以下の地図を見ると、昔ソ連圏と呼ばれた国がNATOに入っています。

BBCより

西側諸国としてはウクライナによる「主権領土」の防衛を支援することが目的で、NATOに所属する国がウクライナを大なり小なり軍事的にも支援している様子です。これできな臭くなっている、ということですか、なるほど。でも正式にはNATO加盟国ではないですよね?支援する上で細かい点はどうなんでしょうか?

米国の動きー今日のニュースからー

このことに関して2つの記事がこちらで目に止まりました。1つ目、WSJより。

State Department Tells Families of U.S. Diplomats in Ukraine to Leave

(米大使の家族はウクライナから離れることを指示)

記事を読むとスタッフも同国を離れる許可が出ていて、そこに住む米国市民にも退避勧告が出ている模様。ロシアがウクライナを侵攻した場合、アメリカ人の出国を手伝える状況にならないだろう、と国務省は通達したそうです。まるでこの間アフガニスタンで起きた時のよう。

2つ目、WSJにも一部触れていましたが、NPRの記事からです。

U.S. weighs sending 5,000 troops to Eastern Europe to counter Russia

(米国、ロシア対策として東欧に5,000人規模の部隊派遣を検討)

最終決定ではないものNATOに所属するルーマニアやポーランド、はたまたブルガリアやハンガリーに軍隊を送ることを考えているようです。米国は昨年10月、すでに対戦車誘導ミサイルシステム30基をウクライナに送り、弾薬など20万ポンド近い軍事援助物資も今日日曜日に届いた、と書かれています。これは既にロシアがウクライナ国境付近に10万を超す軍隊を送ったことに対応するものでしょうか。

BBCより。黒い点が戦力増強された地域。

まとめ

いくつかの記事を読みようやくウクライナーロシアの現状をそれとなく理解することが出来ました。どちらかというと外交的に今はアメリカがボールを持っているように思えますが、それもここ数日で動きがあるでしょう。平和的に解決されることを心から祈っていますが、しばらくこの地域でのニュースから目を離すことが出来ません。

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