3つの調査結果から米国民の考えを伺う
昨日アメリカからでも無料で閲覧出来るAbema TVの海外版ニュースを見ていたのですが、元芸人で政治家に転身した人が「米国民はウクライナに米国の軍隊を派遣することを望んでいない」と断言していました。本当かな、と思い、ネットを検索しました。すべてを網羅したわけではないですが、以下に紹介します。3月に入って行われた調査を選びました。
WSJの調査の場合(3/11付)
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がアメリカ国民に対して調査を行い先日の金曜日(3/11)に結果を発表しました。
WSJ Poll: U.S. Voters Following Ukraine News Closely
この調査によればウクライナのために経済的な負担が必要なことを受け入れても、米軍を危険にさらすことはほとんど望んでいないようです。
Biden, Democrats Lose Ground on Key Issues, WSJ Poll Finds
An overwhelming 90% of voters in the survey said they were following the situation closely, including 54% who said they were tracking it very closely.
(90%の有権者が状況を深く追い、54%が非常に入念に追いかけている、と答えた。)
これを見る限り東欧で起きていることに米国民の関心は高いようです。
A plurality of 46% said the U.S. should do more to help Ukraine, compared with 35% who said the current level of assistance was about right. Only 6% said the U.S. was doing too much.
(大多数の46%がウクライナをもっと助けるべきといい、35%は現在のレベルの援助でいいと答えた。関わりすぎと答えた人は6%だった。)
この調査がどの日付での話かわかりませんが、米軍を送ってでも助けるべき、と答えた有権者は10%でした。
これを見る限り、バイデン政権が取る方針は国民の考えとほぼ沿っています。この数字をTV出演者は引用していたのかも知れません。
News Stationsの調査の場合(3/9付)
同じ時期の調査としてはNewsNationも同様な結果を報告しています。調査日は3/4です。
Full Report: NewsNation’s survey on the war in Ukraine
質問14で経済制裁でもロシアを止めることが出来なかった場合、紛争解決にアメリカの軍隊を送ることに賛成ですが、反対ですか、という質問があります。その答えが以下の通りです。
- 強く賛成ー14.5%
- やや賛成ー20.9%
- やや反対ー22.3%
- 強く反対ー27.2%
- 分からないー15%
ただ反対が優勢(35% vs. 49%)ですが、WSJほど偏った結果にはなっていません。
Forbesの調査の場合(3/8付)
ところがネットを少し検索すると反応が異なる調査結果を見つけることが出来ました。Forbesです。
こちらは購読者でなくても読める記事なので詳細は原文で確認願いますが、以下のように書いてあります。アメリカ人の場合のみ抜粋。
The poll found 39% of U.S. respondents, 41.9% of U.K. respondents and 37.6% in the European Union supported their country “joining the military response” in Ukraine, while 34.2%, 31.5% and 36.8% opposed it, respectively.
(アメリカでは39%がウクライナでの軍事的な対応を支持し、34.2%がそれに反対している。)
こちらの調査は米国民だけなく、英国やEU圏の人の意見が反映されています。飛行禁止区域の設定についても45%が賛成とし反対は24.9%と伝えています。
さらなる詳細はこちらを確認下さい。
POLL: WESTERNERS FEEL LIKE UKRAINIANS – DO MORE
母集団の違い?
異なる結果が出ているのは調査した母集団の違いによるもの、と考えられます。
WSJはImpact Research and Fabrizio社とLee & Associates社に委託して調査、調査日は3/2-3/7で1,500人の米有権者に質問したとのこと。News Stationsは1,021人の有権者に3/5と3/7に調査したと書いています。それに対し、ForbesはCygnal社というところの調査で、調査日は3/6-3/7、米、英、EU,そしてウクライナ人に対して合計3,674人に聞いたとのこと。実際米国人の割合はどの程度かわかりませんでした。またどの調査も支持政党や社会的な地位、そして人種などの違いなどの詳細は記述していませんでした。
まとめ
私見ですが、米国民がどう考えていると結論づけるのは調査の規模の問題もあり、現段階では難しいと感じます。むしろ拮抗していて、日々の状況変化で変わりうるものであり、断言するのは時期尚早と考えた方が良さそうです。
追記
上のブログを書いた後、Fortuneの記事を見かけたのですが、これによると民主党支持者の方が共和党支持者より援軍をウクライナに送るべき、と考えているようです。ちょっと意外です。
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