米で3例目にあたるジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンが緊急使用認可、先行したワクチンとの違いとは?

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アメリカで3つ目、今度はDNAワクチンが緊急使用許可

アメリカ国内では新型コロナウイルスの3つ目のワクチンに対して、緊急使用の承認がFDAから降りました。

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社が開発したものです。2月4日に許可申請を出していたので、3週間ちょっとで認可が下りたということでしょうか。

先行するmRNAワクチンとの違い

このワクチンも接種対象が18歳以上となっています。以前にも紹介しましたが、このワクチンは先行する2つのワクチンとは違い、ウイルスのスパイクたんぱく質部分だけ(=病気を引き起こさない)をコードするDNAを(免疫反応を起こすために)体内に送るためにチンパンジー由来のアデノウイルス(Ad26)を使います。mRNAと違い、DNAの方が安定しているので保存条件が緩やかになるのです。またこのAd26、ウイルスと聞いてびっくりするかもしれませんが、人間の体内では病気を引き起こさないように設計されていること、ご理解下さい。接種回数は良くも悪くも1回です。ワクチン開発に不安をもつ方が安心する点としては、J&J社は過去に同様のアプローチでエボラ熱のワクチンを作成し、ヨーロッパで認可を受けた実績があることでしょうか。

治験の結果

アメリカ、南アフリカ、ブラジルで行われた治験は39,321人の被験者(19,630人がワクチン、 19,691人がプラシーボを接種)が参加し、少なくとも接種14日後には中・重症度の感染を防ぐのに67%有効、28日後では66%有効であったとのこと。重症化を防ぐという意味では、接種14日後で77%、28日後で85%有効だったとも書かれています。治験で起きたまたアナフィラキシーショックの例は1件だけだったのも、不安を和らげる材料でしょうか。ただし現時点ではどの程度予防効果が持続するかは不明であり、人から人へウイルス伝染を防ぐかどうかもわかっていません。

先行する2つのmRNAのワクチン結果の数値と比較しがちですが、重要なことは中・重症度の感染を防いでいる数値、ということです。先行した2つのワクチン治験は94%-95%の有効性を示していましたが、これは軽・中症度の感染に関する数値でした。つまり数字を直接比較することは出来ません、ということです。またJ&J社の治験は先行するワクチンの治験より遅くに行われ、高い感染力を誇る変異種が出回っている地域(南アフリカやブラジル)でも行われたことを考慮に入れる必要があります。

もしFDAの審査に関する詳細なレポート(原本)を読みたい、という方は以下のページを参照下さい。

一般にすぐ出回るわけではなさそうですが、保存条件が緩くロジスティクスにも優しそうなので、生産が高まり普及すればパンデミック収束に多いに貢献すると思われます。

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