日本映画「DitO」を映画祭で一足早く鑑賞

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初日プレミア上映@シネマ・オン・ザ・バイユー

早くも2月に入り、ルイジアナ州はマルディグラ(Mardi Gras、英語だとFat Tuesday)のお祭りが近づいています。なんか街全体がフワフワしています。学生さんもなんか本業に身が入っているように思えないのですが、気のせいであることを祈ります。

映画祭ディレクターから電話

ここラフィエットは市の人口が12万ちょっとで小さいのですが(私としては「村」と呼ぶ)、毎年1月の終わりに1週間程度、国際映画祭があります。パンデミックもあって苦しい時期があったはずですが、今年で19回目を迎えます。

面白いことに毎年日本からも応募があるので、年が明けるとどんな作品が上映されるのか、映画祭のウェブサイトで確認しています。大きなスクリーンで日本語の映画を鑑賞出来る機会なんてそうそうないですからね。するとオープニングで日本の長編映画が上映されることが分かりました。平日とは言え夜7時上映ですし、場所もダウンタウンと近いので見に行くことを計画しました。

数日後、見覚えがある方から携帯に入電。その映画祭のディレクター「パット」からでした。車を運転していたので取れなかったのですが、後でテキストが来ました。「日本から映画監督が来るので、少し手伝えないか」という話でした。二つ返事でOKしました。以前、一度お手伝いをしたことがあったので、また声をかけてくれたのです。

ようこそルイジアナへ

パットの甥っ子であるDくんはJetプログラムで日本滞在歴もあり、日本語が非常に流暢。日本人監督が来てもあらゆる場で彼が通訳出来るのですが、K-12の先生となった今、昼間はなかなか時間の自由がきかないようです。特に今回は映画監督たちが泊まるホテルと会場が歩いてすぐの距離ではなく、Dくんもベタつきでアテンド出来ないから私にも声がかかった、というのが真相です。

悪天候で当日ラフィエット入りされた監督さん(ここではYKさん、とします)、まずは昼食を一緒に取りました。地元の食事でいい、というのでコテコテの「Chris’ Poboys」で食べることにしました。食べ物も選んでいい、というので、エビや牡蠣のPoboyにシーフードガンボを食べてもらいました。反応ですがまずまず受け入れてもらえたかな、と思います。そう思いたい。。。

「DitO」会場での反応

YKさんがホテルで一旦休まれた後、夜に迎えに行き車で一緒に会場入りしました。雨が強く、火曜日夜なこともあって客足は厳しいだろうなぁと思ったら、会場は数席を除き満席でした。これには驚きました。

恐らく2時間弱の映画だったと思います。上映後、大きな歓声とともにスタンディングオベーションが起きました。YKさんが前に出て、Q&Aに入りました。Dくんは前回会ったときよりもはるかに日本語が上達してて、こちらも驚きました。お世辞抜きによく通訳していたと思います。鑑賞者から質問も途切れなく出て、私が気を遣って間をもたせるような質問をする必要は全くありませんでした。万が一とは言え考えていたこと自体が失礼でした。

Q&Aの後、外でレセプションがあり、そこでもYKさんは出席者から声をかけられては感想を聞いたり、質問を受けていました。Dくんが明日早いからと帰ってしまったので、ようやく私は少しだけお手伝いが出来ました。ご本人がこの時の状況をXFacebookなどで遠慮がちに報告されていますが、事実です。すごい反応でした。

数日後、この映画が最優秀長編映画賞に選ばれました。第一選考で2つの映画が残り、審査委員全員で決選投票をしたそう。それで見事「DitO」が選ばれた、とパットが言ってました。対抗馬は予算が「DitO」の約10倍、すでにアメリカでも約60館で上映が決まっているという映画でしたが、審査員がより心を揺さぶられたのはこちらだった、という話でした。

私の感想

あらすじをここで紹介するのは野暮なので、既報の以下の記事をご参照下さい。

田辺桃子、主演映画「DitO」で「リエティ&サビナ映画祭」最優秀女優賞を獲得「この上なくうれしい」

ネタバレしない程度に感想を書くと、母国語で映画を見れると思ったのに、フィリピンが舞台のためタガログ語のセリフが多く、細かい内容を追うには英語の字幕を読む必要が結構ありました。これはなかなか面倒なので、途中から表情と演技から内容を理解するようにしました。ストーリー的に難解とは思えなかったので、この判断は正解だったと思います。

Q&Aで質問がありましたが、私もラストの書き方を最初から決めていたのか、気になりました。実際撮っている途中で論議があり変えられたそうです。私的にはあの終わり方を見て、日本人の映画だなと感じました。一方で重要な場面で、ジャズの楽曲がバックで流れていました。日本映画では珍しいと思いますが、感情的な表現を後押ししているようで意外にもよく合っていました。無論、ジャズ発祥地であるニューオリンズがここから近いですから、ここでは非常に好意的に受入れられていたことは言うまでもありません。

個人的にお話を聞けたので、YKさんの思い入れがたくさん入った映画であることが分かりました。このことは映画から分かりかねるので、公式サイトなどで少しずつ紹介されるのかな、と思っています。先に知ること出来てちょっと得した気分です。ただワタシ的には、勝手ながら主人公を自分に重ねて見る場面がありました。普通に日本で大学出て普通に就職したのに、勝手に道を外してアメリカに来ては長いこと滞在してる部分です。娘はいないですけど(笑)。

まとめ

聞いたところこの映画、日本では今年の夏に上映です。2月にはサンフランシスコでの映画祭にも招待され、上映されるようです。日時は14日水曜日、西海岸時間で夜9:15から上映とのこと。場所はRoxie Theater House 2です。

2024 San Francisco IndieFest

サンフランシスコ付近にお住まいの方は、来場されて鑑賞することをお勧めします。日本にいらっしゃる方は夏までお楽しみです。

私はひと足早く作品を鑑賞出来た上に、主演され監督された方からお話を聞けて非常に幸運でした。アメリカの田舎に住んでいても、たまには良いことがあるものです。

DitO_trailer2023.06 from kuruwa.llc on Vimeo.

P. S. 本件のブログの壁紙ですが、映画監督御本人から使用許可を頂いています。

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