まとめ:トランプ前大統領の弾劾裁判の流れを簡単に書き留めた

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前大統領2度目の弾劾裁判に関する備忘録

世の中薔薇、バラ、ばら

バレンタインデーを控えた週末、どこのお店に行ってもお花だらけでした。ホールフーズではバラが特売になっていました。

roses

ダブル・ダズン(Double Dozen)ということは24本で$19.99です。普段は$29.99なのが、$19.99なので特売なのはわかりますが、ここのお花がどれだけいいかまではわかりません。蕾だからしばらくもつかな?といったぐらいしか推測ができません。バレンタインデーは明日ですが、それでも一束買って家に戻りました。

今日のニュース

結論・無罪

もう日本語でもニュースになっているかと思いますが、前大統領の弾劾裁判の採決があり、結果は57票-43票で3分の2に届かず無罪でした。

弾劾裁判の流れ

ペンス副大統領が憲法修正25条を適用して大統領を罷免する、ということを拒否したので、下院は大統領の弾劾を要求し、裁判する決議を行ったのは1月13日です。

ところが後述する共和党上院トップ・マコーネルが選挙結果から大統領任期内に裁判を行うことを躊躇したため、裁判は2月にずれ込みました。その後も弁護団に少し時間をあげるべきだ、とかいろいろと応酬があったのですが、これは民主党側が押し切り、早期の2月頭に裁判を行う運びとなりました。

弾劾裁判の流れ
2/9/2021 裁判の合憲性審議、採決して可決、審議続行
2/10, 11/2021 民主党下院が冒頭陳述
2/12/2021 弁護団が冒頭陳述、その後上院議員が質疑応答
2/13/2021 投票して結審

裁判開始後のことの流れを簡単に説明すると、まず2月9日、退任した後の大統領に対し裁判することが合憲かどうかについて上院(Senate)で決議があり、これは多数決(56-44)で通りました。

翌10日、11日と2日間にわたって検察側の民主党(下院)が冒頭陳述を行いました。以下のサイト(日本語)に陳述の詳細があります。

一部の共和党議員も認めるように民主党の冒頭陳述はとてもよく出来ていたようです。実際、議会が襲われた現場にいた人たちですから、そこに嘘はなさそうです。これに対して12日、弁護側の冒頭陳述が行われました。本来最大で16時間、2日間にわたって陳述が許されますが、費やした時間は3時間だけでした。弁護側は暴動を扇動した根拠とする「(死ぬ気で)戦う」という表現は過去に民主党でも使われた、とし弾劾するのは憲法上問題があると指摘しました。この後上院で質疑応答が行われ、その日は終わりました。以下のサイト(日本語)に陳述の詳細があります。

ちなみに12日、元サウスカロライナ州知事、前政権下で国連大使だったニッキ・ヘイリーは前大統領の行動を非難しました。私的にはもしかしたら風向きが変わるかなと思いましたが、無風でした。

13日、訴追する側の委員は有罪を立証するために証人喚問を求め、上院がそれを一度は認めました。しかしそれを実施すると大幅に結審が遅れるので、それを防ぐために与野党が協議をし、証人による証言は書面上で提出するのみになりました。詳しく言えば、民主党は共和党のへレーラ・バトラー(Herrera Beutler)という下院議員の証人喚問を求めていたようです。彼女はケビン・マッカーシーという共和党下院内総務から話を聞いていました。どんな話かというと、マッカーシーが前大統領に暴徒襲撃をやめさせるようにと懇願したものの、トランプは応じなかったとのこと。さらに襲撃を企んでいるのは極左の「アンティファ」であると言い、マッカーシーが「それは違う、トランプ支持者だ」というと、前大統領は「じゃあケヴィン、その人たちは君よりも選挙結果に怒っているんだろうな」というやり取りがあった、という内容でした。

これに対し弁護団は対抗するため数十人の証人を喚問することをほのめかし、審理の膠着を避けたい与野党は協議の末、証言の書面提出にとどまった、となっています。

疑問

これだけ読むと疑問は2つ。なぜマッカーシーを直接召喚せずバトラーなのか、そして何故民主党は審理が長引くことを望まなかったのか、という2点です。前者は勝手な推測ですが、2年後の下院選挙に備えてすでにフロリダに飛び前大統領にひれ伏してるから、後者は結局民主党が2/3の賛成を得られるとは思わなかったから、を疑います。結局はいまだ前大統領の影響力が強い一方で、訴追しようとする民主党側のネゴ不足、力不足が露呈されただけ、と感じました。

最後に投票で決着がついたのですが、その前に以下のようなツイートが流れたので、私自身は無罪になるなと確信しました。

言うまでもなくマコーネルは共和党上院内総務で、共和党内に大きな影響がある方です。これまでの過程でも前大統領に対して苦言を呈してきましたが、評決に関しては「現職でない大統領を弾劾するのは違憲」という解釈を貫いて、弾劾否決に入れました。この解釈も賛否両論あるようですが、後で何と言おうと前大統領が罪としては問われないことになりました。

私感

弾劾の可決には2/3の賛成が必要でした。アメリカ上院は各州に2人の議員がいるので、2X50州=100人の上院議員がいます。昨年の選挙の結果、共和党員、民主党員の割合は50人、50人、なので、2/3をとるには100X(2/3)~=67人(賛成票)-50人(民主党)=17人の造反票が共和党から必要でした。以前にも指摘(というほど偉くないですが)しましたが、共和党から17人以上の反対票が出そう、というような流れは一度もなく、それならば弾劾裁判より今やるべき別な仕事をした方がいい、と思っていました。結果的にその通りになってしまい、リベラル系のメディアがどんなにこの裁判の意義を唱えようと、時間を無駄にした、むしろ前大統領勢力の強さが如実に表れただけだった、と感じたのが正直な印象です。

2年後の中間選挙、そして4年後の大統領選挙に向けて現政権のハードルはむしろ上がった気がします。それでもいい方向に転ぶことを今は期待しています。

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