エンジンがかからなくなった時の対処法
10月に入りました。アメリカだとハロウィンの衣装や飾りつけのコーナーは狭くなり、少しずつクリスマスの装備が店頭に並び始めました。今年も後3ヶ月、私頑張らないとまずいです。今日は一緒に仕事をしている学生さんのプレゼン要旨を学会に提出することが出来たので、ほっとしました。
数日前の症状
さて今日は愛車トヨタのカムリくん(2003年、2AZ-FEエンジン)の話。先週ぐらいからエンジンのかかりがなんか悪いな、と感じようになりました。鍵穴に鍵を指して、回すと「クルルン」と言う音とともにエンジンがスタートするのですが、だんだん「ク、ク、クルルン」と短い間ですが間が入り、さらにその「ク」の音がかすれるようになったのです。音も「ク」から「キュル(英語だとsquealing)」になった感じです。
これはそのままにしておけません。
バッテリーの確認
まさかバッテリーかな、と思い購入先のウォールマートに持っていき確認してもらいました。バッテリーそのものは3ヶ月前に交換したばかりなので、それが弱ってエンジンがかからないことは普通ありえません。でもここはアメリカ、さらにウォールマートで売っている製品ならハズレを引くこともなくはないです。
ウォールマートに行って事情を話すと、すぐにコンピュータで点検してくれました。検査の結果バッテリーは100%充電出来、cold cranking ampsも表示通りでした。つまりバッテリーは問題ありませんでした。
点検料:0ドル
オルタネーターの確認
電気を充電する所は大丈夫だったので、次はオルタネーターを確認しにAutozoneに行きました。オルタネーターはエンジンの回転を利用して電力を発生させバッテリーを充電します。ジャンプスタートしてエンジンがかかっても、その後エンジンが止まる場合はオルタネーターが問題のことが多いです。
ただオルタネーターも去年に11月にトヨタのディーラーで交換していました。あれから数千マイル走っただけでヘタるとは思えません。Autozoneでもコンピュータ診断をしてくれましたが、オルタネーターだけでなく、バッテリー及びスターターも「Good」が出て問題ない、と言われました。
えっ本当ですか?
不安になりながらもその日はお店を出ました。
点検料:0ドル
直前の状況
Autozoneで大丈夫、と言われ2日ほど乗っていましたが、症状は悪くなるばかり。先週の金曜日だと「キュル、キュルー、キュルーーーー、クルルン」と時間をかけてかろうじてエンジンがかかるぐらいでした。
それで土曜日、車に乗ろうとするとうんともすんとも言いません。鍵を回しても「カチッ(英語でclick)」というモーター音もしなくなりました。エンジンがかかる(英語でcrank)様子もなくカムリくんがお休みモードに入ったわけです。一方でエンジンライトや室内灯、そしてラジオなどは問題なく作動した状態でした。
原因究明
まずは以下のサイトで原因を探しました。
Battery vs Alternator vs Starter: Who’s the Culprit?
ウォールマートとAutozoneで点検、そして交換後日が浅いのでバッテリーとオルターネーターを原因から外しました。ガス欠でもないし、普通に考えてスパークプラグやイグニッションコイルが問題とも思えません。
2つの仮説を立てました。
- Autozoneの点検が正しいとし、電気系つまりignition relayかヒューズでも切れた。
- Autozoneの点検は正しくなく、普通にスターターのセルモーターもしくはソレノイド(solenoid)が壊れた。
1の場合はignition relayとヒューズの購入、2の場合はスターターもしくはソレノイド単体を購入する必要があります。これ以外だと機械をつなぐ電線が断線した場合も考えられますが、目視でなさそうでしたし、もしそうなら自分でやるのは面倒だと思い、DIY計画から除外しました。
1の場合を確認するため、ボンネットを上げてヒューズボックスを開け、以下の動画を参考にしてignition relayやヒューズを取り出しました。
取り出したのですが、金属部分が腐食しておらずキレイなままでした。従ってこの部品を原因から除外しました。
注:Autozoneでignition relayを買うとなると$40前後です。
2の場合、セルモーターかソレノイドが問題ですが、勝手ながらAutozoneのコンピュター診断したのはセルモーターかな、と想像しました。従ってソレノイドだけ買えばいいのか?と検索したのですが、単体は安くないのです。
これだったらスターター一式変えてもそれほど金額は変わらないので、全部取り替えることにしました。全部取り替えればスターターのどの部位が損傷しているか、特定する必要はなくなります。
すぐにAutozoneに購入に行きました。厳密にはこのスターター、新品ではない(必要な部分を交換したリサイクル品)のですが、それほど短期間で壊れるものでないでしょうし、普通に使っていればLifetime Warrantyなので交換に行けばいいだけです。
費用:スターター一式:$151.99 + 税金 +$40のデポジット(古いものをリサイクルすると返金されるはず)
後日談:古いスターターをAutozoneに持ち込んだら、確かにデポジットは返金されました。
スターター交換
インターネットで検索すると2002年-2006年のカムリのスターター交換動画は星の数ほど出てきます。2、3個異なる動画を拝見しましたが、どれも基本手順は一緒。どう考えても安全に自分一人で交換可能なことを確信しました。参考までに一つ紹介しておきます。
恐らくスターターをハンマーとかで軽く叩けば、もう一度ぐらいエンジンがかかったかも知れませんが、自転車でAutozoneに行き、スターターを購入してきました。
必要だったもの:
- ソケットレンチ(必要なソケットは10 mm, 12mm、14 mm)
- WD-40
- マイナスのスクリュードライバー
作業時間:自分にとっては1時半程度
1.スターターの位置確認
まずはボンネットを開けました。この時代のカムリはエンジン横がスカスカで、スターターが目視出来ます。エンジンの右下、エアクリーナーボックスの左下にあります。
2. バッテリーを取り外す
エンジンルーム右下にあるバッテリーを外しました。基本ネガティブ(黒)の端子(ターミナル)から線を外せば問題ありません。このカムリだと10 mmのソケットレンチでネジを左向きに回せば問題なく外せます。ターミナルが錆びているときは、WD-40を少し吹きかけて油を浸透させれば簡単にとれはずです。
この後バッテリーを支えるトレーを外しました。この過程はトレーを取って上に持ち上げるだけです。
3. エアクリーナーボックスを上下に分ける
普段から自分でエアフィルターを交換しているので、これも簡単な作業です。上下2つのボルト(10 mm、下図の白い部分)を緩めるとエアクリーナーボックスを上下に分けることが出来ます。
次にエア・インテイク(Air Intake)のホースを外すために、もう一つのボルト(10 mm、上図の黄色い部分)を緩めることでホースを絞っているクランプを緩めることが出来ます。
最後にマスエアフローセンター(Mass Air Flow Sensor)と接続している線(wiring harness)とバキュームスイッチングバルブ(Vacuum Switching Valve)と接続している線を外しました。どちらも爪になっている部分を下に軽く押す(青色部分)と簡単にソケット部分から外すことが出来ました。さらにバキュームスイッチングバルブも外せば(ネジを2つ外すだけ)エアクリーナーボックスの上部を完全に取り外すことが出来ましたが、私は接続したままフタを上に押しのけて作業を続けました。
エアクリーナーボックス上部を上に押しのけると、下部の中身が見えました。砂や葉っぱが混じっていて汚かったです(下図参照)。
4. エアクリーナーボックスを外す
次に上図の3つのボルト(白い部分、10 mm)を外しました。その後ボックス後ろの線を支えている2つのクリップを開けて線を開放し、エアクリーナーボックス下部をエンジンルームから外しました。
5. 電源のトレイ下のブリッジを外す
エアクリーナーボックス下部が外せたので、次はそれを支えていたL字型のブラケットを外しました。
ボルト2つ(上図で白い丸部分)でこのサイズも10 mmです。これを緩めるとブラケットも自動的に取り外すことが出来ました。
6. エアインテイクを外す
ブラケットを外せたので、次に手前にある扇状のエア・インテイクを外しました。緩めるボルト(白い部分)は相変わらず10 mmです。
この作業を完了することでスターターへのアクセスする空間を完全に確保出来ました。
7. スターターを固定するボルトを外す
エンジンに対してスターターは3つのボルト(白い部分)で固定されていました。
スターター下部、画像で見て左右のボルトは14 mm、真ん中、画像で中央のボルト(カバーでこの画像ではボルトが隠れている)が12 mmでした。
画像をよく観ればわかるますが、スターターはDenso製でオリジナルなまま。走行距離29万マイルを超えて初めての交換です!組み立てから20年間ちょっとお疲れ様でした。左右のボルトは固かったので、WD-40をボルト部分にさして油を浸透させてから外すことが出来ました。
中央部のボルトはカバーを取ると以下のような形状です。
ワッシャーが噛まされていることもあり、12 mmのソケットで回すと簡単に取り外すことが出来ました。これで全てのボルトが取れました。
残りはスターターに電気を送る部分のハーネス(黄色の部分)を外しました。最後にスターターを持って少しだけ揺らすと、あっけないぐらい簡単にそれを取り出すことが出来ました。
穴の奥にエンジン内のギアを確認出来ます。ハンドル横のイグニッション・スイッチをひねると、スターター先の歯車が内部に少し伸びてエンジン内のギアと噛み合い、エンジンが始動する仕組みだろうなと推測しました。
上下にスターターを並べ、購入したスターターが物理的に形状が同じかどうか確認しました。
どうやら同じようです。ちなみに新品には真ん中のボルトの頭とワッシャーだけが添付されていました。従って取り外した左右のボルトは再利用しました。
8. 新品スターターを取り付ける
残りの作業は今までの手順を逆に行うだけです。新品のスターターはピタリとエンジンにハマり、ボルトの位置が合わないことは全くありませんでした。
逆の手順をするだけ、と言いましたが、一つだけ工夫をしました。扇状のエア・インテイクとエアクリーナーボックス下部は先にお互いはめ込んでから、同時にエンジンルームに取り付けました。最初エア・インテイクを取り付け、後からエアクリーナーボックス下部を上からはめ込もうとしたら、うまくいかなかったからです。
因みにエアクリーナーボックス下部はゴミを取り除いて綺麗にしておきました。
それ以外は取り立てて難しいことは全くありませんでした。あえて注意しておくと、バッテリーを取り付ける時は正極(赤色)側を先に取り付け、最後に負極(黒色)側を取り付けます。
もし迷った時は上の動画を見直せば元に戻せると思います。途中疲れて休憩したり、不安になって動画を見直しましたが、賞味1時間半で作業は終了しました。
9. エンジン再起動
運転席に乗り込み、エンジンがかかるか試しました。鍵をイグニッションスイッチに入れ、一捻り。見事に「ブォーン」と元気良くエンジンがかかりました。「キュルキュル」といった音は全くなりました。時間をおいて何度かかけても問題はありませんでした。
本当にスターターが原因だったのか不安でしたが、めでたし、めでたしです。あーすっきり。
まとめ
車種にもよりますが、スターター交換なら必要なツールさえあれば、かなりの確率でDIYで交換が可能と感じました。動画のコメント欄を見ても、高齢の女性が初めて自分で部品交換してみたが、出来たという報告があったぐらいです。
最悪うまくいかなくてもレッカーでディーラー持っていけばすぐに解決するはずなので、やらない手はないです。一方でAutozoneのコンピュータ診断はスターターの何を診断したんでしょうかね。完全にエンジンがかからない状態にならないと、正確に診断出来ないのでしょうか。
また自分で交換することでどれだけ節約出来たのか、というのが気になりますが、以下のサイトによるとディーラーの場合、$111から$140の範囲(ただしこれに税金がかかる)だそうです。営業が見積もる最短の1時間の作業ということかな。
Toyota Camry Starter Replacement Cost
今後どなたかの参考になれば幸いです。
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