アメリカ人という区分法
フロリダ州にまた大きなハリケーンが向かっています。Heleneも大きかったですが、今度のMiltonはもっと大きいようです。被害が少しでも少ないことを祈るとともに、必要な方々が円滑に避難されていることを希望します。
税法上のアメリカ市民
20年以上在米だとアメリカ人からも日本人からも「もうアメリカ人でしょ?」と言われるのですが、市民といえども幾つかの分類があるので、「Yes」とも「No」とも言えます。
アメリカに来て一番最初に市民扱いになるのは、税法上です。日本語のサイト(e.g., 会計事務所)を拝見すると結構間違いが多いのですが、留学生としてF1やJ1ビザを持っていても税法上居住者になりえます。参照するのは以下のIRC section 7701(b)です。
Determining an individual’s tax residency status
最初の5年は非居住者(Nonresident alien、通称RNA)なのですが、6年目からは同じビザでも以下の条件を満たす場合(今年とその直前の2年間を含む3年間に183日アメリカに滞在)居住者に分類され、確定申告の用紙がアメリカ市民と同様になります。休むことなくフルタイムで留学生をしてたら問題なくこの条件にひっかかります。
私は長いことF1ビザでアメリカ滞在していましたが、税法上は6年目からアメリカ居住者(=納税者)になりました。税金の上では市民と一緒の扱いです。4年目からGraduate Assistantをもらい始めて申告義務が発生したのですが、6年目に税金申告フォームがForm 1040NR(非居住者用)からForm 1040(居住者用)に変わった時、ちょっとだけ「おぉ」と思いました。
注1:留学生は最初の5年米国内で収入があってもなくても、Form 8843を提出する義務があります。収入がある人はこの書類の他にForm 1040NRを提出する必要があります。昔は紙で郵送でしたが、今はすべてオンライン提出かと思います。留学斡旋会社で留学後も生徒さんを面倒を見る機関は、この書類の提出指導も徹底して頂きたいと強く希望します。
注2:非居住者の場合、課税対象年度内の米国源泉所得のみが申告対象です。日本から奨学金をもらっていたり、銀行に余分なお金を貯金して利子を得ていたとしても、申告の必要はありません。
注3:6年目以降でも「Student FICA exemption」に該当する場合、ソーシャル・セキュリティー税とメディケア税は免除されます。つまり大学からGAとして雇用された場合、免除の対象になるはずです。
移民は統計上人口に入るか
次に疑問に思ったのは、自分はアメリカ移民かどうかです。アメリカに戸籍はなく、10年ごとに実施されるCensus(国勢調査)で人口などに関する統計を出します。Censusの紙が郵送された時点でこれを記入して提出していいのかどうか迷ったのですが、結果的に◯でした。
結論から言うと私は「アメリカ移民」に分類され、アメリカの人口の1人として数えられているようです。
調べてみると移民(immigrant)という定義は各国によって違い、共通の定義がないことに驚きました。国連の定義によると、
移民とは居住地の移転を伴う国際移動をする人のことであり,その中でも1年以上の期間、外国に住む人を長期移民と定義する。
だそうです。つまり国籍変更やビザに関係なく、住む場所を変えれば移民となるようです。以下のサイトに移民について日本語で詳しく記述されていました。
この分類によれば私は自分の意思とは関係なく永住型移民(permanent-type migrant)となるようです。
アメリカの人口
では全ての移民がその国の人口にカウントされるのでしょうか?アメリカの場合、法律的に許可を得た移民(ビザ保持者=Nonresident aliensやpermanent residents)のみならず、違法移民(undocumented individuals)も人口の一部としてカウントされているそうです。
Frequently Requested Statistics on Immigrants and Immigration in the United States
ある意味すごいですが、逆にかなり「推定」の部分が含んでいる気がしてなりません。
日本の人口
それでは日本はどうでしょうか?通常の移民は人口に含むようですが、一時的なビザで滞在している外国人をカウントしているかは不明で、移民に関する詳細な分類が行われていないことが一般的なようです。
確かにこの数字には外国人住民が含まれていますが、外国人住民の定義がなされていません。日本人の戸籍は厳密に取り扱うのに、外国人住民の定義があいまいなのは少しびっくりしました。ただChatGptに聞くと、一時的な労働者や留学生もカウントしている(=全ての移民)、という答えが返ってきました。
質問:Does Japan count for the immigrants for their population?
答え:Yes, Japan counts immigrants as part of its population. The Japanese government tracks the foreign-born population, including both permanent residents and long-term foreign residents. Immigrants in Japan include various categories, such as permanent residents, workers, students, and individuals with family ties in the country. However, Japan has traditionally had a low percentage of immigrants compared to many other developed nations due to historically strict immigration policies.
永住者はアメリカ人か?
最後に永住者(permanent residentsもしくはgreen card holders)はアメリカ人にカウントされうるか、もしくは自分は日系アメリカ人と呼ばれうるか確認しました。
厳密に定義をしているサイトに当たらなかったのですが、一般にアメリカの市民権を取らないとJapanese Americanとは呼ばれないようです。Wikiには以下のように書いてありました。
Definition of Japanese American: Someone with Japanese ancestry who is a US citizen.
(日系アメリカ人の定義):日本人の先祖を持ち、米国市民である者
ただ腑に落ちない表現もありました。First-generation immigrantsというものです。
According to the U.S. Census Bureau, first-generation immigrants are the first foreign-born family members to gain citizenship or permanent residency in the country.
(米国国勢調査局によると、移民一世は外国生まれの家族の中で初めて市民権や永住権を取得した人たちのことである。)
普通一世とか二世ってアメリカ人のこと言うんじゃないんですかね。二世だって日本の病院で生まれてアメリカで育てば、厳密な意味では市民権を持ってないこともありえますが。
まとめ
移民や人口というのは、それほど厳密でないことがわかりました。私の場合、アメリカ移民でアメリカ人口に含まれているようです。私は1年のほとんどを日本に滞在していませんが、戸籍はそのままです。この場合でも日本人口から-1されているのでしょうか。もしかしたら海外転出届を出した時点で、人口から引かれているのかも知れません。でも海外転出届を出していない人はどうなっているんでしょうか?
また二重国籍保持者の場合はどのように数えられるんでしょうね?海外に2つの住所があって、どちらの国にも税金を収めていたら、各国で1、合計2人と数えられるのでしょうか?
疑問です。
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