アメリカン・フットボール選手と脳震盪

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ブレット・ファーブがパーキンソン病を告白

先週末、勤務先のバレーボール部の試合を観戦しに行きました。日本人選手が一人在籍していて、スタメンで頑張っています。4年生なので今年が最後ですが、良いシーズンを送れることを祈っています。応援した日は見事勝利しました。試合後サインの求めに応じていましたが、かなりの人が順番待ちしていました。

実は人気者?

米下院小委員会の公聴会にて

ファーブの告白

元NFL(プロ・フットボール)のQBで2016年に殿堂入りしているブレット・ファーブ(Brett Favre)が、下院のある委員会の公聴会で自身がパーキンソン病と診断されたことを告白しました。

Football Hall of Famer Brett Favre says he has been diagnosed with Parkinson’s disease

以前から彼は健康問題、特に脳震盪のことを公に話し、その認識を高める活動をしていました。彼は20年プロ選手として主にグリーンベイ・パッカーズで活躍しましたが、その間に数千(この数は大袈裟と思いますが)もの脳震盪を経験したかも、と話しています。しかし当時は1分か2分サイドラインに出た後、フィールドに戻ってプレーするのが当たり前だった、と。

おまけ:アメリカの母校(USM)が一緒で、引退後は地元に戻っているので彼に会ったことがあります。USMがあるミシシッピ州ハティスバーグから一番近いチームはニューオリンズ・セインツでTV放送は通常その試合を流すことが一般的なのですが、彼がNFLで活躍していた時は毎週グリーンベイ・パッカーズの試合がその地域で放映されていました。そのぐらい有名人です。

自分の経験

比較にならないぐらいレベルは違いますが、私自身も1980年~1990年代に高校、大学、社会人で合計11年アメリカン・フットボールをしました。記憶があるだけで2回の脳震盪を経験していますが、当時の脳震盪に関する認識は彼の告白とまったく一緒です。

私の場合、脳震盪を経験してもサイドラインにすら出ませんでした。焦点が全く合わず、目から入る映像がグアングアン揺れていたことを覚えています。恐らく足元がおぼつかずふらついているはずですが、審判がプレーへの参加を止めることはなかったです。その後多少の頭痛が残ったものの、翌週の練習・試合を休むこともありませんでした。

何も知識がなかったし、練習に戻るための必要な手順も存在しませんでした。また当時のタックルは頭(=ヘルメット)でヒットするように教わりましたので、現在の視点で鑑みればテクニック的にも不適切でした。

このように昔は現在の対応や手順、心構えとは大きく異なったのです。

パーキンソン病

パーキンソン病は神経に関する疾患で、身体の運動機能に影響があります。発症後主に震え、筋肉の硬直、動作の緩慢などの症状があるそうです。パーキンソン病そのもので死に至る訳ではないものの、合併症を起こしやすくなって死に至るとか。また現在治療法は確立していない、とのことです。

上のCNNの記事によるとフットボール経験者は他のチームスポーツ経験者と比べ、パーキンソン病もしくはそれ似た運動障害(パーキンソニズム)が起きる確率が約61%高いという研究結果があるそうです。別な研究結果では、高いレベル(大学やプロ)でのフットボール経験者は高校やそれより下の学年でのみの経験者と比べて、パーキンソン病やパーキンソニズムに罹患する可能性が3倍近く高いことが報告されていました。

数字の根拠は恐らく以下の論文

American Football Play and Parkinson Disease Among Men

自分、将来大丈夫でしょうか?

アメリカの対応状況

脳震盪に対しては約15年ぐらい前から潤沢に資金がNIHやDODに流れ、学術研究が今まで以上に行われるようになりました。スポーツ現場でも私が20年以上前に習ったときよりはるかに進んだ診断法や復帰までの手順が確立され、実施されています。フットボールではルールの改正とともに、テクニックの改善がなされ、少しでも脳震盪を減らし、選手を守る努力がされています。またヘルメットやその他防具にも大きな進歩がありました。

アメリカンフットボールがコンタクトスポーツである以上、脳震盪の可能性を0にすることは出来ませんが、認知と予防法、対処法の確立がさらに進み、選手の健康と安全が増すことを祈っています。

そうでないとアメリカの田舎で秋の夜長に観るスポーツなくなってしまいます。

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