ノババックス社ワクチンの説明、今までのワクチンとの違い

COVID19 vaccine
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遺伝子組み換え型タンパク質のワクチン、治験良好

ワクチン接種拒否による職務停止は不当でない

テキサス州ヒューストンにある病院が新型コロナワクチン接種を義務化し、接種を拒否した従業員を職務停止にしました。

Texas hospital suspends nearly 200 workers for refusing to get COVID-19 vaccine

職務停止を受けた117人が不服とし地方裁判所に不当を訴えましたが、棄却されたとのことです。

A Judge Has Thrown Out A Lawsuit Brought By Hospital Workers Over A Vaccine Mandate(NPR)

Judge dismisses lawsuit filed by Houston hospital system employees who refused coronavirus vaccine(ワシントン・ポスト)

原告としては「ワクチンは安全ではなく実験的ですらある」から義務化は不当だと訴えたようですが、ヒューズ裁判官は「この2つの主張は誤りであり、現実的でない。テキサス州の法律は、従業員に刑事罰のような行為を拒否することで解雇されてしまう労働者を保護しているにすぎない。COVID-19の予防接種を受けさせることは違法行為ではなく刑事罰を受けることでもない。」返答し、「プレスリリース形式の訴状」では原告がどのような違法行為を求められたのか明記すらされていないと付け加えたようです。

この裁判官による結論の原文を読みたい方は以下のリンクを辿って下さい。

Order on Dismissal

これは全国的に争っている同様な裁判での最初の判決となり、各裁判所の判断に影響を与えるであろうとのこと。日本での医療従事者への判断にも関係があるかも知れませんね。

またオフィスを開けるにあたり、従業員にワクチン接種証明の開示を求める会社が出てきました。ゴールドマン・サックスとかモルガン・スタンレーなどです。

Companies Push Employees to Prove They Are Vaccinated for Covid-19

ノババックスのワクチン、変異種にも有効

日本も2020年初頭に受け取れる予定のワクチンにノババックス(Novavax)社がありますが、良好な治験結果が得られたようです。日本だと武田薬品が製造と供給を行う予定であるためか、日本語のネットニュースですでに話題になっていますね。

Novavax Covid-19 Vaccine Is 90% Effective, Including Against Variants, New Study Shows(WSJ)

29,960人を対象とした治験をアメリカとメキシコで実施、3週間をおいて2度摂取すると変異種を含めても90.4%の有効性を示したそうです。COVID-19の症状を示した人のうちゲノム配列解析が得られた患者の82%が変異種に罹っていて、ワクチン接種者でオリジナル型の新型コロナウイルスに罹った方はいなかったそうです。接種者で罹った方も重症化した例はなかったとされています。また副作用の程度も他のワクチンとほぼ同じと紹介されていました。

Novavax Says Its COVID Vaccine Is Extremely Effective(NPR)

ただアメリカではすでに3社のワクチンに対して緊急使用の許可が降りていて、ワクチンも十分に供給されている状態なので、FDAはノババックス社に緊急ではなく通常認可を申請するように要求するかも、と言われています。

先行するワクチンとの違い

ノババックス社のワクチンの中身はタンパク質

ノババックス社のワクチンは先行するファイザーやモデルナ(mRNA)、J&Jやアストラゼネカ(DNA via アデノウイルス・ベクター)とは違うタイプのものです。J&Jのワクチンについては以前ここでも紹介しました。

ノババックス社のワクチンですが上のWSJの記事をそのまま訳すと、

ワクチンはコロナウイルスの表面に見られるスパイクタンパク質に似たタンパク質を含み(=遺伝子組み換えタンパク質、無害)、これを注射することでウイルスに対する免疫反応が引き起こすものです。ノババックス社はこのタンパク質を昆虫の細胞内で製造し、免疫反応を高めるための物質(アジュバント)はチリに自生する常緑樹の樹皮から抽出したものから作っています。このワクチン製造方法はグラクソ・スミスクライン社の帯状疱疹ワクチン「Shingrix」など、他の疾患に対するワクチンと同様で実績があります。

とのこと。

製造・反応過程

もう少し詳細な説明がWSJにあるので、それを訳します。以下記事からの抜粋です。カッコ内は私の補足です。

従来のワクチンは実際のウイルスを(弱毒化して)使って免疫反応を起こしていました。ノババックス社のワクチンは、コロナウイルスの表面上のスパイクタンパク質を合成したものを使用しています。このタンパク質は抗体がウイルスを認識する(免疫反応を引き起こす)ために使用するものです。

spike protein.

(ノババックス社の)ワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質を(合成して)安定化させたもので、これを脂質のナノ粒子に固定して体内に注入します。(注:あくまでもスパイク・タンパク質のみで、悪さをする中心にある赤い部分は含みません)synthesized protein for vaccine
このタンパク質は、バキュロウイルス(baculovirus)という(新型コロナウイルスとは)無関係な昆虫ウイルスを遺伝子組み換えし、その組み換えウイルスを用いて、アーミーワーム(アワヨトウという昆虫の幼虫)からクローンした細胞に感染させることで作られます。

modified virus

ワクチンに含まれる精製されたタンパク質抗原は(人間の体内で)複製されず、Covid-19を引き起こすこともありません。またこのワクチンには、ワクチンに対する望ましい免疫系の反応を高める化合物(アジュバント)が含まれています。

antibodies

もう少し説明が欲しい、という方はニューヨーク・タイムズの以下の記事を参照することをお勧めします。時間をみつけて、後日追記で説明を付け加える予定です。

How the Novavax Vaccine Works(ニューヨーク・タイムズ)

感覚的に今まで承認されたワクチンとは違う、と理解していただければ幸いです。

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