大腸の精密検査を米国で受けた話

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アメリカでの下部消化管内視鏡検査の流れ

先日受けてきた大腸の内視鏡検査(大腸カメラ)の様子です。私自身の備忘録として、そして今後検診を海外で希望する方の参考になれば幸いです。

知っておいた方がいい英単語

  • Large intestine:大腸
    • Cecum:盲腸
    • Ascending colon:上行結腸
    • Transverse colon:横行結腸
    • Descending colon:下行結腸
    • Sigmoid colon:S字結腸
    • Rectum:直腸
  • Endoscopy:内視鏡
  • Stoolもしくはfeces:便
  • Polyp:ポリープ
    • Benign:良性
    • Malignant:悪性

large intestine

医療機関との会話

数週間前

プライマリーケアの医師より勧められ、その医院から他の病院での予約をとってもらいました。アメリカの多くの場合内視鏡や造影を専門に行う医療機関があり、そのうちの一つを紹介されたわけです。

予約が確定するとすぐに内視鏡専門の医療機関が連絡があり、日付の確認と内視鏡検査を受けるまでの手順を記した手紙が送付されることを伝えられました。また当日自分で運転出来ないので他に運転手を探すこと、そしてパンデミックのため院内のマスク着用と体温測定があることも言われました。

数日後、家に手紙が届いていました。入っていたのは検査を受けることの同意書と、内視鏡検査前に飲む薬の処方箋と飲み方でした。

大腸を空っぽにする過程

検査4日前

薬局に行って薬を買ってきました。1つはSutabというもの。

sutab

中を開けるとコップと薬が入った容器が2つありました。Sutabの中身を読むと

硫酸ナトリウム(sodium sulfate)、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate)、塩化カリウム(potassium chloride)

でした。

もう一つはOTC(over-the-counter、処方箋なし)で購入できるGas-Xというものです。医師からの指示ではGas-Xというブランドを指定されましたが、腹部膨満感を改善するための薬で別にジェネリックでもいいだろうと思い、Walgreenブランドの安いものを買いました。成分は見た目一緒ですしね。

またこの日、医療機関から電話があり、質問がないかどうか確認がありました。

検査2日前

生野菜やナッツ、生フルーツの接種を控えるように、と言われているので、そのとおりにしました。これ以外、この日はまだ普通に食事が出来ました。

検査前日

朝食は卵や白い食パン、お粥やヨーグルトなどお腹に残りにくいものを食べるように指示がありました。朝食以降は透明の液体のみ摂取が許可されました。例えばゲータレードとかです。私は空腹を紛らわせるために飴玉をなめていました。

夜6時に最初のSutab服用でした。上のコップに指定したラインまで水をつぎ(16オンスはほぼペットボトル1本分でした)、1つ目の容器を開封しました。12錠入っていて、それを15分から20分でお水で飲むように、と書かれていました。お水は全て飲むように、となっていました。私の場合、これを完了した後はまだ普通の便が1度出た切りでした。

これを完了して約1時間後、上のコップにまた同じ量(ペットボトル1本分)の水をつぎ30分ぐらいで全て飲み干すような指示でした。お腹がタポンタポンになりました。しばらくしてお腹にガスがたまってくる感じがしました。トイレに行く回数が増え、便はだんだん水になっていきました。

水を飲み干してから30分後、あらためて同量のお水をコップにいれ、30分ぐらいで全て飲み干しました。さすがに今回はこの量のお水を飲むのがしんどくなり、トイレに行っても水のような便しか出ませんでした。水を飲み干したあと、指示通りGas-Xのジェネリック版薬を2つ吸いました(chewって書いてあるありました)。

実は1度目の服用は大学のオフィスで行いましたが、この間、トイレが近くて運転して家に帰れる状態ではありませんでした。便意が収まるのを待って家路に着きました。帰るとお風呂に入ってすぐ寝ました。

検査当日

私の予約時間は午前10時半でした。指示通り朝5時に起きて、Sutab服用2度目を行いました。2度目ですし、昨日は基本絶食していますから、ほとんど便はなく液体が出るのみです。指示通り7時半すぎには2度めの全過程を終了しました。また今朝はこのときに飲んだ水以外、検査前はなにも口にしないで、という話でした。

内視鏡検査

10時ごろ、家内の運転で医療機関に到着。検温後、予約の確認と署名した同意書の提出がありました。当たり前ですが、待合室で待っている患者さんはみなマスクをしていました。

椅子も隣との間隔が開くように工夫されていました。

waiting room

しばらくして看護婦から名前を呼ばれ、中に入りました。メインの部屋は真ん中にナースや医療従事者が事務作業するステーションがあり、患者の脱衣部屋はその周りを囲うように配置されていました。

部屋と言っても実際は以下のカーテンで仕切られているだけの空間で、中で話している声は聞こえてきます。

room 1

そんな区切られた空間の一つに案内され、脱衣するよう言われました。上はTシャツを着ててよく、下はおパンツを脱ぐか、くるぶしぐらいまで下げてから、ベッドに入ってという指示。場所によっては特定の衣服に着替えるようですが、ここではありませんでした。言われた通りにしてベッドの中に入り、薄い毛布をかけました。

自分が寝たベッド。ここに毛布は写っていませんが、温めたか、乾燥機にかけてすぐ後だったのか、温かくて心地よかったです。

room2

「準備完了しました」と声をかけると看護婦が来て、簡単な問診と血圧、脈拍が測定されました。麻酔を静脈経由で入れるためのチューブみたいなものを右手の甲に入れられました。「腕と手の甲どちらがいい?」と聞かれ、「どちらでもいい」と答えると手の甲にされました。また寝る体制ですが左側を下に横になるよう言われました。

iv tube

その後15分ぐらい待って担当医が来てさらに問診、そして検査の過程を教えてくれました。ここで初めて検査中は麻酔で落とされることを知りました。日本の医療機関だと軽く意識がある中で行われるようですが、ここでは完全に眠るようです。麻酔で意識がなくなるのは私にとって人生初のことです。

医師の問診が終わったと、また10分ほど待ってベッドごと実際の検査室に移動しました。ベッドで運ばれたことも人生初です。検査室は薄暗くなっていて、すでに二人の人がいました。一人は麻酔科医、もう一人は看護婦さんのようでした。写真を取りたかったのですが、携帯をそこに持っていくことを忘れました。

先程の担当医が検査室に到着すると、看護婦さんから「11時9分、開始」という会話が聞こえました。看護婦に脈拍を図る装置(指先)と心電図を取るためのEKGを取り付けられ、それが済むと麻酔科医から手の甲に麻酔を入れられました。麻酔が入ると手の甲にジーンとした感覚がありました。すると担当医から話しかけられ「そう言えばさ、この辺りで美味しいお寿司屋さんある?」と聞かれ「うーん、ここでは行ったことない。ヒューストンまで行ったほうがいいよ」と回答しました。そこで「ヒューストンだとどこ?」と聞かれたので「ウェストハイマー通り沿いかなぁ」と答えたことは覚えているのですが、この後全く記憶がありません。時間にして数分で麻酔で「意識が落ちた」んだと思います。次、意識が戻ったのはもとのカーテンに区切られた脱衣空間でした。

意識が戻ってすぐ時計を見ると12時ちょっとすぎだったので、1時間弱寝ていたことが分かりました。朝早かったのでいい昼寝だと思いました。身体に違和感は全くなく、痛くも痒くもありません。起きたことに気づいた看護婦さんが入ってきてあらためて確認、また先程の担当医が来て自分の状況について写真付きの書類を使って丁寧に説明してくれました。この書類は説明後もらうことが出来ました。私の場合2つほど小さなポリープがあり、良性だと思うけど取って生検に回した、とのことです。結果がわかったらまた連絡する、とのことでした。またこれらの結果を私のプライマリ・ケアの医師にも連絡しておくから、そっちですることはないよ、と教えてくれました。

この後服に着替え、看護婦さんと最後の会話をしました。もし体調が悪くなったら24時間いつでも連絡すること、今日はまだ麻酔が完全に切れてないので運転や決定事項などにサインをしないこと、食欲があれば何も食べてもいいよ、でもお酒は我慢してね、といったような話でした。話が終わるとちょうどお迎えが駐車場についた、というテキストが来たので出口まで送ってもらい(恐らく本人が運転しないことを確認したんだと思う)医療機関を出て家に帰りました。

まとめ

検査を受けるにあたり、検査までの手順をよく確認しておくと安心出来ると思います。私の場合、薬で完全にお腹を下すことを想定していなかったので職場で1回目の服用をしましたが、家でやった方が気分的に楽だったと思いました。

検査中に意識があるのか、ないのかは医療機関によるかと思います。他の方にも聞いたのですが、アメリカだと麻酔で意識がない状態で検査をするのが普通のようです。日本とは違いますね。

今の心配ごとは検査料ですが、保険があれば予防的な処置だとほとんど費用の請求はないそうです。私の場合、生検をとって検査に回したのでそこの検査費用を請求されるかなと思っています。詳細は請求が来たときにまた報告します。

以上、アメリカで大腸の内視鏡検査を受けてみた、でした。

コメント

  1. マカロン より:

    とても興味深い記事を有難うございました。前に申しましたように、私も大腸の内視鏡をしなければならないんですが、一時帰国できずに滞ってしまっています。

    アメリカの病院も全身麻酔なんですね。私の所も同じです。私の夫がこちらで受けたんですが、全身麻酔は嫌がっています。終わった後で、腸に痛みがあったようです。私は必ず日本で受けるので部分的な麻酔なんですが、私の医師曰く、欧州等では全身麻酔で、内視鏡が下手な医師だと後で痛みが出るそうです。私は大腸にポリ-プが出来やすいようで、毎回2-3個はその場で切って取ってもらいます。その医師は自由診療しかやっていないのですが、本当に名医なので、私はそこ以外行きたくないんですが、こうなってくると、グズグズしないで帰国するか、こちらでするか決断しなくてはならないと思っています。

    オ-タスさんのお医者様は腕のいい方のようで、宜しかったですね。ポリ-プが見つかった場合は、良性でも、半年から一年後にまた検査されて、切ってもらった方がいいかもしれないので、お医者様に今後の検査について相談された方がいいと思います。

    • マカロン様、

      コメント有難うございます。運が良かったのか、私が鈍感なのか、検査後腹部に痛みはありませんでした。初めての全身麻酔でしたが1時間程度で醒めたこともあり、起きた後は何も違和感がありませんでした。

      >ポリ-プが見つかった場合は、良性でも

      先日医療機関との電話では「次回の検査は10年後ぐらい」と伝えられました。日本語で記事を読んでも3年とか5年という話を聞くので、10年よりはもう少し短い期間でまた検診を受けようかなと考えています。

      蛇足ですが昨日バイデン大統領も大腸の内視鏡検査を受け、その際に全身麻酔を使うので大統領権限が女性の副大統領に短期間移った話がニュースになっていました。

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