誤訳?意訳?「Foreign Educated」は留学生ではない、でしょ?

Foreign educated does not mean international student
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日本の報道における違和感

私事ですが、年齢的観点からプライマリーケアの医師から勧められ、本日大腸の内視鏡検査(colonoscopy)を受けてきました。日本語で記事を探すと、私が経験したことは少しだけ日本のそれと違うようなので、後日あらためて書き記すことにします。

ファイザー、18歳以上全てにブースター注射申請

今日の話題というと、ファイザー社がブースター注射に関し新たな申請をしたことでしょうか?

Pfizer and BioNTech ask FDA to authorize COVID vaccine booster for people 18+

今までは前回接種から6か月以上経った65歳以上の方、医療関係者、そして免疫反応が弱い方のみが対象でしたが、これを18歳以上の方全てが対象になるようにするものです。

私の周りは医療従事者だったり、医学部や医学系の研究をしている人が多いので、彼らはすでに3回目を完了しています。そのうち二人はインフルエンザのワクチンと同時接種した、と聞きますが(日本人)、多少の副反応はあったにせよ、寝込むほどではなかったようです。

日本も来月から3回目を検討しているようですね。

ワクチン 来月から3回目接種 職域接種は来年3月めど開始方針

私自身、2回目接種から6か月以上経っていますし、活動が活発でマスクをしない若い世代の人に毎日会わないといけないので、対象になればまた接種する予定です。

因みに今日現在日本で2回接種を完了した割合はYahoo!のポータルサイトを見る限り74%だそうですが、アメリカ全体では58.4%、ルイジアナ州では48%です。

誤訳?意図的?

引用元

11月になっても渡米されない巷では有名な方の話ですが、直接的に彼の話ではなく、報道の間違いが気になっているので書き記しておきます。この間のブログで最後、と言ったのに最後にならず申し訳ないです。

個人的には無意識な誤訳か、それとも意図的な意訳だと思っていますが、NY州の弁護士試験に関する合格者の統計に関することです。大元の統計は以下のサイトにあります。

NYS Bar Exam Statistics

閲覧したい方は、右の「ダウンロード」をクリックすると目的のファイルが表示されます。以下はある年の切り抜きです。

category - population

私が気になったのは受験者の分類方法で、以下の2つです。

  • NY ABA Law Schools
  • Foreign Educated

ABAはAmerican Bar Associationの略で、アメリカ法曹協会とでも訳すのでしょうか?NY ABA Law Schoolsはその協会が認定するロースクールを指し、フォーダム大学のロースクールはその認定を受けています。

ABA Required Disclosures

Foreign Educatedの意味

問題は「Foreign Educated」の扱い。どのように分類したか具体的に説明するサイトを見つけられなかったのですが、普通に読めば「海外で教育を受けたもの」であり、アメリカに来た留学生ではありません。

何故かを説明するにあたり、NY州での弁護士試験の受験資格を確認しましょう。

Bar Exam Eligibility

受験資格

  1. ABA Approved Law School Study (JD graduates)
  2. Law Office Study/Clerkship
  3. Unapproved Law School Study
  4. Foreign Law School Study
  5. Pro Bono Scholars Program

詳細は上のリンクを辿っていただきたいのですが、「Foreign Educated」は3. Foregn Law School Studyにあたる、と考えるのが妥当です。その文章を紹介すると以下のようになっています。

外国のロースクールでの学習 – 米国外のロースクールで、米国内の認可されたロースクールでの学習プログラムと期間的にも実質的にも同等の学習プログラムを修了し、必要な場合は米国内の認可されたロースクールで追加の学習プログラムを修了すること。

さらに詳しい説明は同じドメインの別なページにあります。

Foreign Legal Education

日本でのロースクールのカリキュラムがアメリカのそれと同等の場合、それだけで受験資格があると書いてありますし、足りない場合はアメリカで短期のLL.M.を修了することで受験資格を得られる、と書いてあります。これはあらかじめ必要書類を相手に送り、審査を経て決定されるものです。

一方で第四項「SYNOPSIS OF REQUIREMENTS UNDER RULE 520.6」の所に「Foreign Educated」の定義と読み取れる項目があります。例えば以下のようなものです。

Qualifying Degree (520.6 [b] [1]). The foreign-educated applicant must have fulfilled the educational requirements for admission to the practice of law in a foreign country other than the United States. The applicant must have a qualifying degree, which must be a degree in law.

ある方の分類先

これらを鑑みると、米国のロースクールを卒業されJDの学位を得た方の分類先は、例え留学生だろうと英語が第一言語でなかろうと、統計的には「ABA Approved Law School Study (JD graduates)」に入れられるはずで、巷の報道で少なからず引用される「Foreign Educated」というくくりに入れるのは適切でない、とことが分かります。言い換えれば「留学生の半分は不合格」するような試験、という解釈をすることは、彼に関して言えば的外れもいいところです。

まとめ

フォーダム大学のロースクール入学するには、色々な書類を提出する必要があります。

Selection Criteria

ここにはLSATという英語での試験のスコアも求められていて、アメリカ人だろうと留学生だろうとアメリカのロースクールの学生としてやっていけるかどうかの判断がされています。ここを通過して入学許可され、さらにプログラムを修了された方に「言葉のハンデ」とか「留学生だから」という説明は不適切で、逆にそのようなことで同情するのは失礼とすら考えます。

つまりKさんについては名誉のためにも1の「ABA Approved Law School Study (JD graduates)」に分類され、その中で結果がどうのこうの、と公平に議論されるべきではないですかね。

なお色々と細かい問題を耳にしますが、まずは合格しないと何も始まらないでしょうから、米国に1人でいち早く戻り仕事、そして勉強することを希望します。

P.S.この話の内容をそのまま読むか、逆説的に読むかは読まれる方の判断に委ねることとします。

コメント

  1. マカロン より:

    未だに、学校の検索ぺ-ジではJDの卒業生として名前が出てこないようです。(卒業時のPDFのリストには出ています)。ですので、Yahooのコメント欄などでは卒業したのかと言うコメントが結構見受けられます。そこで、またそもそも論なんですが、LLMからJD2年目への編入には、JD1年目の科目をLLMとその前の大学の教科でカバ-していなければなかったはずではないかと言う意見がありました。一橋はビジネススクールだったので、例え名前が変更になっても受けた学科自体は変わらないから、JD編入への資格はあったのかと言う事です。私は、そのような事は知らないので、取り合えず2年から卒業までの間にJD1年目の分も取ればいいと思ったのですが、その様な事でもないんですかね。

    話が変わりますが、内視鏡されたんですね。私は、2年に一度は日本に帰国して決まったところでしていたんですが、コロナで2年半以上検査していません。私の住んでいるところですればいいんですが、やはりコロナ患者もいるだろうしと思って、怖くて行けていません。そんな事言っていると手遅れになるかもしれないので、行こうとは思いますが。

    • マカロン様、

      コメント有難うございます。

      >そもそも論なんですが、

      これは本人と大学しか真実を知るよしはありませんが、KさんはLLMを1年で卒業し、JDコースにあらためて新規入学したと思っています。編入、という言葉ですが、大学のHPによれば出来ません、と明言しています。

      Transfer Program
      Can I transfer to Fordham Law’s JD program from an LLM program? No, you cannot transfer to Fordham’s Law’s JD program from an LLM program. You would need to complete the regular application, applying to either the three-year full-time JD program or four-year part-time program.

      そのためLSATのスコアなども書類を全て提出し入学許可を得て、JDコースに在籍。その後2年もしくは2年ちょっとかけて卒業しNY州の法曹試験の受験資格を得た、という理解です。どちらにせよ本当に受験したのならば、大学の学位だけでなくNY州の担当機関で審査を経ているはずなので、そこに忖度はなかったと考えていますが、どうでしょうか?

      >内視鏡

      はい、初めて受診して来ました。私が来院した場所は内視鏡専門施設でしたが、ほかのどこの医療施設よりもコロナ対策をしていて安心して受診出来ました。詳細は後日、ブログで書き記す予定です。

      • マカロン より:

        オ-タス様、
        お忙しい中、ご返答ありがとうございました。

        仰る通り、現在フォーダム大学のそのページには編入不可とあるんですが、あの方の入学した頃は、許可していたのかもしれません。AERAの記事でも、編入したとあります。英語は帰国子女並みにできると思うので、LSATを受けたのかもしれませんが、希望の大学のレベルまでは難しかったのかもしれないし、実際、どのように編入されたのかは分かりません。LLMに入る人たちはそもそも法学部出や日本の弁護士資格を持った人が多いので、LLM卒業と共にBarExamを受けて帰国するそうです。あの方の場合、LLM卒業時にその資格があったのかどうかは分かりませんが、JDで必要科目を履修して、受験資格ができたのではないかと想像しています(卒業が間に合わなかったとしても)。

        ご参考まで、AERAの記事とLLMを卒業された方のNoteを添付させて頂きます。

        https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E7%8B%AC%E8%87%AA-%E5%B0%8F%E5%AE%A4%E5%9C%AD%E3%81%95%E3%82%93-%E7%B1%B3%E5%A4%A7%E6%89%8B%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80%E3%81%8B%E3%82%89%E6%96%AD%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F-%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B-%E5%8E%B3%E3%81%97%E3%81%84%E7%8F%BE%E5%AE%9F/ar-AAOcdpH

        https://note.com/yumi_o_murakami/n/n39539d5fbd72

        • マカロン様、

          ご返答有難うございます。またリンク先の情報、有り難く拝見致しました。特にNoteを書かれた方は実際に体験された話なので、現実味はかなり高いですね。

          私は州立大学勤務、分野は違いますが学部、大学院の入学・編入を希望する学生の書類を見て単位互換を確認したり、合否の判断を下すことも仕事の一部です。ボリュームだけ多く中身が薄っぺらい志願書やレジュメをそれなりに見てきました。ただ悲しいかな下っ端なので私の判断が厳格な理由なく上にひっくり返されることは少なからずあります。結論ありきなら下に書類回して判断を仰ぐな、時間の無駄と思うのですが、現実はこんな感じです。アメリカは超コネ社会、政治的な判断が現場に大きく関与しますので、州の規則に縛られない私立大学なら尚更あると想像します。むしろそのようなルートが最初から確約されていたからフォーダム大学進学を決定した、と勘ぐりたくなりますが、真相は本人と大学しか分かりませんよね。前回の返答はそれでも米大学に良心がある、という思いで書きましたが、叶わぬ夢かも知れません。

          アメリカという場所はフレキシブルというより何事も適当、権力やお金を使えば如何様にもなります。生活していてそれをひしひしと感じることが多いです。日本でもなくはない、と思いますが。

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