ボストンで快適に暮らすために必要な年収:最新の数字から見る現実

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どんな職業がそんなに稼げるの?

私ごとながら3月末に誕生日を迎え、また歳を取りました。アメリカでは基本自分が定年を決めるため、いつまで働けるんだろう?という心配はいりません。しかし現実的には何歳まで働かないといけないんだろう?というのが心配の種です。ましてやマサチューセッツに居続けたいと思ったらなおさらです。今回はそんな話の一部です。

ボストンという所

ボストンと聞くと、みなさんはどんなことを思い浮かぶでしょうか?私は職業柄、学会がよく行われる所という印象です。州立大学勤務時代、2回学会に参加したことがあります。ホテル料金が高かったのが悩みですが、空港からのアクセスが良く、ホテルの周りにも歩ける距離にお店や公園があり、楽しめたことを覚えています。街の大きさも程よいサイズですし。

ネットで同様に印象を調べると、ここは全米でも屈指の教育都市であり(確かにハーバードとかMITがある)、医療・研究・テクノロジー産業が集積する活気ある街とのこと。確かにバイオテックとかの企業もたくさんこの辺りにあるイメージがあります。IT企業のイメージはあまりないですが、大昔在籍した会社が吸収した会社(Digital Equipment Corporation、通称DEC)はこの辺りにあったはず。

そんなボストン、訪問して数日滞在するには良いところですが、住むとなると話は別。元々安くないのに、近年生活コストの上昇が市民の暮らしをさらに圧迫しているようです。CBS News Boston が紹介した SmartAsset の最新調査によれば、ボストンで“快適に暮らす(comfortable living)”ために必要な収入は単身者で $139,776、4人家族で $368,742 に達するとか。

えっ、若い人たちもそんなにもらってるの?みんなどんな職に就いてるんですか?

アメリカのトップは言わずもがなニューヨーク。単身者で$159,000、4人家族だと$337,875。4人家族がボストンより少し低いのは、ボストンでの教育費が高いため。

快適に暮らす、とは

そもそもここで言われている「快適に暮らす」ってどういうことでしょう?記事によるとSmartAsset は家計管理の基本として知られる 50/30/20 ルールを基準にしているそうです。

  • 50%:住居費・医療・交通などの必需品
  • 30%:外食・旅行などの“欲求”
  • 20%:貯蓄や借金返済

このバランスを保ちながら生活するためには、上記のような収入が必要とのことです。$139,776をざっくり12月で割ると、ひと月あたり額面で$11,648。マサチューセッツ州は税金が高く、Massachusetts paycheck calculatorでざっくり手取りを計算すると、

額面:$11,648

税金:$3339.20

  • Federal Income Tax: $1856.69
  • Medicare Tax: $168.90
  • Social Security Tax: $722.18
  • MA State Income Tax: $537.85
  • MA Family Leave Insurance: $20.97
  • MA Medical Leave Insurance: $32.61

手取り:$8308.80(額面の約71%)

確かにこれだけあれば、ボストンに住み(場所にも寄りますが、1 bedルームで$3,500/月から$4,000/月ぐらい?)、健康保険を払い(一人だと$500/月とか?)、交通費(MBTAで地下鉄バス1か月乗り放題は2026年4月現在$90)を払っても「50%の必需品」の枠内で収まりそうです。これに食費を入れてもぎり大丈夫そう。

言葉は古いですが、花の独身貴族ですな。

一般市民の現実は?

実際はどうなんだろう?というと、ボストンの中央値世帯収入は $97,791だそうです(同じ記事参照)。ちょっと安心しました(十分高いけど)。

この額は単身者(世帯ではない)が快適に暮らすために必要とされる額を大きく下回っています。つまり(自分を含む)多くの一般市民は「快適」どころか、毎月家計のやりくりに苦労しているわけです。普通にボストン市内には住めないし、地元出身でなければ余程のことがない限り、家を購入するという選択肢もありません。

Boston Foundation の報告によれば、スターターホームを購入するには $162,000 以上の収入が必要だそうです。これを実現できる賃貸暮らしの人たちの割合はわずか15%とか。

Can you afford a “starter home” in the Boston area? Housing report says only 15% of renters make enough.

ボストン近郊の住宅価格は平均で50万ドル超となっていますが、この額はちょっと微妙です。街が古いこともあり住宅の質はピンからキリまで。現実的には$1Mは必要なのがたとえボストン郊外でも普通です。自分のような新規移住者にとって、家を購入することが大きな壁であることが分かって頂けると思います。

昨年の調査ではマサチューセッツ州民の3人に1人が生活費の高さを理由に州外移住を検討しているという結果も出ています。それはそうですよね。1年住みましたが、ボストンでの生活が全米でもトップクラスに“高い”ことを痛感しました。

仕事の内容と収入のバランス

実際ボストンで高収入の仕事は能力と実績があれば多く存在するようです。特に教育・研究・医療分野の専門職にとっては魅力的なキャリア環境が整っていると言われています。また多様性に寛容な市民(全員とは言わない)、治安の良さ(アメリカ平均と比べたら)、適度な大きさの都会は新規移住者でもそれなりに快適に過ごせます。高い生活費は、その豊かな都市機能と需要の裏返しとも言えるかも知れません。

ただ収入と生活費のギャップが広がり続ける現状を見ると、都市としての持続可能性はどうなんでしょうね。政治家が考えないといけないことですが。

ボストンで将来仕事をしたい方へ

今後留学生などが卒業後ボストンで仕事をし、生活を考える際には、仕事の内容だけでなく、自分の収入がどの程度の生活レベルを維持できるかを冷静に見極めることをお勧めします。若いときにはどうにかなる、と考えがちですが、自分の経験(@コネティカット)も含めて現実はなかなか厳しいです。まして歳をとって来るとなると、引退後の資産に回すお金も必要ですから。

理想はリモートワークが可能な職を得て、必要な時だけボストンのオフィスに通い、それ以外は比較的生活費の低い地域に住んで仕事をする、です。ただ仕事の経験値が浅いときは、同僚やお客さんとの交流が後々の大きな財産になるんですよね。難しいです。

幸いなことに日本で新卒の時は、自宅から都内の会社に通うことが出来ました。今考えれば幸運でした。社会人として地方から出て東京に勤務するときは、同じような葛藤があるのでしょうか?もし同様な経験がある方いらっしゃれば、教えて頂けると幸いです。

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